うつ病の周囲への影響「もらいうつ」
最近、うつ病を抱える患者を支える家族や同僚が心身の不調を抱える現象が注目されています。これを「もらいうつ」と呼び、精神科医である髙橋一志氏の新刊『もらいうつ』がその実態と予防法を詳しく解説しております。
「もらいうつ」とは?
この用語は、風邪を誰かに「もらう」という表現からヒントを得ていますが、もちろん医学的にはうつ病は感染症ではありません。「もらいうつ」は、誰かの感情やストレスに寄り添うことで、支え手自身が心の健康を損なってしまうことを指します。特に家族、パートナー、職場の同僚など、心の距離が近い人々が影響を受けやすいです。
実体験から見る「もらいうつ」の影響
本書では、産後うつの妻を支える夫や、うつ病の母を助け続ける娘など、実際に「支えよう」とした結果、自らが心の健康を損なった事例が多数紹介されています。強い思いやりを持つ人ほど、その負担を重く感じやすく、結果的に自身も疲れ果ててしまうのです。
著者は「もらいうつ」が家庭内だけでなく、職場でも発生することを指摘。心の距離が近いことが重要であり、物理的な距離とは関係ありません。このような心理的な負担を抱える「支える側」が多いことに焦点を当てます。
うつ病と支える側の負担
うつ病と診断された人には、治療や休養のための支援がきちんとあります。しかし、支える側には、同様のサポートがない場合が多いのが現実です。家族のためだ、職場の責任だという思い込みから、自分の心身の健康を後回しにしがちです。その結果、静かに疲弊していきます。
本書では、見えない層の存在に光を当て、支える人々がどうすれば良いのかを探究します。
寄り添う方法と予防策
著者は、本書で「寄り添うけれど、寄り添いすぎない生き方」を提唱しています。この界隈では「うつ病の原因は一つではなく、家庭状況や職場環境、本人の気質など、あらゆる要因が絡み合っている」と強調。そこで重要なのは、「寄り添うことが必ずしも悪ではない」こと。寄り添い過ぎない「距離感」を保つことが肝要です。
対策を具体化していく
第Ⅵ章では、具体的な「もらいうつ」の予防策が説明されています。特別な道具や費用は必要なく、以下の4つの対策を今すぐ実践できます。
1.
自分の特性を理解する
自分のストレスへの反応や、性格の特徴を知ることで、自分に合った対処が可能になります。
2.
セロトニンの分泌を促進
軽い運動や日光浴を取り入れることで、心身の健康を保ちやすくなります。
3.
ストレスマネジメント
十分な睡眠を確保したり、感情を書き出すことで気持ちをリセットすることが効果的です。
4.
バランスの良い食事
オメガ3脂肪酸を含む青魚や、大豆製品、乳製品などを積極的に摂取します。
髙橋氏は「特定の食べ物が必ずうつを防ぐわけではなく、規則正しい生活が何より大切」とまとめています。
まとめ
支える人が自らの心の健康を守ることは、自分のためだけではなく、支えられている人の回復にもつながります。新刊『もらいうつ』は、うつ病に直面するすべての人々に向けて、理解とサポートの重要性を伝えています。心の健康を保つために、ぜひ手に取ってみてください。