サステナクラフトが提携し新たなGHG排出量削減手法を開発
株式会社サステナクラフトが、アメリカのRegrowおよびATOA Carbonとの提携を発表しました。この協力により、日本の二国間クレジット制度(JCM)向けに、モデルベースでの農業における温室効果ガス(GHG)排出量削減方法論が共同開発されます。特に水田由来のメタン排出削減に寄与する「AWD(Alternate Wetting and Drying)」技術は、その持続可能性が期待されています。
AWDによる環境への影響
AWDは、特に東南アジアで大きなGHG削減ポテンシャルを秘めた農業手法ですが、従来のJCM方法論ではチャンバーを用いた実測が必要で、コストやモニタリングの複雑さが課題とされています。しかし、この提携により、モデルベースによる推定が進化し、スケーラブルで透明性のあるGHG削減の実現が期待されています。
共同開発の内容
本提携の中心には、Regrow社が独自に開発した生物地球化学モデル「DNDC」があります。このモデルによれば、高度なモデリング技術を活用することで、農業プロジェクトに参加しやすい環境を整えることが可能です。
さらに、ATOA社は世界的な炭素クレジットのレジストリであるVCS(Voluntary Carbon Standard)における最新のAWD方法論を提案し、すでにモデルベースの定量化が認められています。この知見と技術を組み合わせることで、より多くの農家やプロジェクト開発者がGHG削減プログラムへ参加しやすくなります。
取り組みの具体化
3社はAWD活動においてモデルベースによるGHG排出推定のパイロット実証を計画しています。2025年中には複数の企業や政府機関との連携のもと、実証プロジェクトに着手します。この実証では、DNDCモデルを用いて温室効果ガス排出量の推定手法の有効性を検証します。
加えて、フィリピンなどの地域でAWDの実施が期待される中、現地でのパートナーシップも募集されます。業務を通じて包括的かつ効果的なGHG削減手法の普及が図られます。
各社のコメント
RegrowのWilliam Salas博士は、稲作がメタン排出削減において大きな可能性を持つと強調し、サステナクラフトやATOAとの連携を喜んでいます。ATOAのSami Osman CEOも、この取り組みが市場に革新と効率をもたらすと期待を寄せています。サステナクラフトの代表、末次浩詩も、提携によって高品質な農業プロジェクトの拡大が期待できると評価しています。
会社概要
- - Regrow: 米国に本社を置き、農業バリューチェーンのステークホルダー向けに気候レジリエンス強化ソリューションを提供する企業。世界で最も影響力のある企業の一つに選ばれ、農業部門でのイノベーションをリードしています。
- - ATOA: カーボンオフセットプログラムの効率化を専門とする企業で、国際的なクレジット登録機関と連携してプロジェクトの実施や方法論開発を行っています。
- - サステナクラフト: 自然資本への資金循環を目指すスタートアップ企業で、カーボンクレジットのデューデリジェンスや調達支援を専門としています。
このように、サステナクラフトと両社の提携によって、農業分野でのGHG排出量削減が加速することが期待されます。持続可能な環境作りのため、今後の取り組みに注目です。