最近、企業アルムナイに関する新たな研究成果が発表されました。これまで日本では、退職者が在籍していた企業とのネットワークを継続する動き、すなわちアルムナイの活用が活発化しているものの、全体像を把握するための情報が不足していました。それを補うために、「企業アルムナイ研究会」が日本で初めて作成したのが「企業アルムナイ・カオスマップ」です。これまで多くの企業がアルムナイの設立に動いている状況を、156社を対象にまとめ上げ、可視化しました。
企業アルムナイの意義
労働市場の流動化が進む現代において、企業が退職者と持続的な関係を築くことの意義が高まっています。このようなアルムナイの形成は、特にカムバック採用やビジネス連携において重要視され、企業が再雇用の選択肢を広げる手法として機能しています。
アルムナイ経済圏の拡大
パーソル総合研究所によりますと、企業アルムナイによる取引は年間1兆1,500億円に達するとされています。そして、アルムナイ採用支援サービス市場は今後急成長すると予測されています。2024年には50.7億円、2028年には300億円規模に達する見込みです。
アルムナイの普及事例
特に注目すべきは、従来の「退職=絶縁」という考え方が強かった業界でもアルムナイが確立されていることです。トヨタ自動車やNTTグループなどの大手企業に加え、地域の銀行や自治体でもこの動きが確認されています。これからの日本の企業文化において、アルムナイ市場は本格的に普及期に入ったといえるでしょう。
企業アルムナイ研究会の発表
中央大学ビジネススクールの犬飼知徳教授によれば、企業アルムナイは新しい人的資本の循環を生み出す仕組みとして重要視されています。今回のカオスマップ作成を通じて、企業アルムナイの実態を第1歩として体系的に整理し、今後の研究や実務に役立つ基盤を整えています。
調査方法とその成果
調査は、上場企業・非上場企業から参加資格や活動状況を詳しく調べ上げる形で行われ、学術的に厳密な方法で制作されました。定義を明確に定め、参加資格の範囲を特定し、相互コミュニケーションが成立している団体のみを対象としました。これにより、ただのネットワークではなく、実効性のあるコミュニティが形成できるかを確認しています。
今後への期待
日本の企業アルムナイがさらに進化していくためには、退職者と現役社員の知識や機会の循環を促進し続けることが必要です。また、企業アルムナイ研究会では、定期的に情報の更新や新たなリストの共有を行っていく予定です。今後の展開に注目し、企業アルムナイという新しい形の人材ネットワークがいかに成長するのか、期待が高まります。
このカオスマップが、アルムナイ文化の普及とさらなる研究活動の礎となることが期待されています。