環境に配慮した食品と消費者の意識
最近の消費者調査によると、環境に配慮した生産方法を理解する消費者は、その価格が通常より最大16%高くても購入を検討する傾向があることが明らかになりました。これは、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社と株式会社NTTデータ経営研究所が共同で実施した「SDGsに関連した環境配慮型行動の認知度と環境配慮型食品の価格受容度に関する調査」に基づいています。
調査の背景
地球温暖化対策として、日本では「みどりの食料システム戦略」が策定され、農林水産業由来の温室効果ガス(GHG)の削減が求められています。しかし、環境配慮型食品の市場は依然として限定的であり、消費者の認知度向上が課題です。内閣府の調査によると、89.5%の消費者が同等以上の価格での購入意意欲を示していますが、実際には「価格の高さ」や「入手の難しさ」が障壁となっています。
SDGsを意識した消費者
調査の結果、SDGsを意識して購入する商品・サービスの中で最も多いのが食品で、全体の32.6%がこれを選択しました。しかし、一定数(53.7%)の消費者が購入時にSDGsを意識していないとの結果も出ました。これは、環境への配慮を意識的に取り入れる消費行動がまだ広がっていないことを示しています。
価格受容度の変化
環境配慮型食品に対する追加支払い意欲について調査した結果、認知度が高い消費者は、バイオ炭を使用した米や再生可能エネルギーを利用した卵で16%から14%の上乗せを受け入れる傾向があることが分かりました。逆に、畜産や水産品では低めの結果となり、持続可能な漁業で捕れたサバで9%の受容に留まりました。認知度の高い消費者は、値上げを受け入れる割合が93.8%から97.5%に及び、非認知層では41.6%から71.0%という顕著な差がみられました。
普及促進策
環境配慮型食品に対する購入意欲を高めるためには、情報提供や手段の多様化が重要です。「ふるさと納税」を利用した購入は、特に生産者を応援できる点で支持されています。背景情報を確認しやすい購入場所として、スーパーやふるさと納税が選ばれており、価格やアクセスよりも生産者支援が重視される傾向が見られました。
結論
消費者の環境配慮型行動の価格受容度は高まっているものの、全体的にはSDGsの意識が低い問題が指摘されています。今後は媒体を通じた情報提供強化や価格負担軽減策により、認知度向上と購買行動のチェンジが求められます。この調査結果は、環境配慮型食品の普及へ向けた重要な指標となるでしょう。