名将の素顔を追ったノンフィクション『正しすぎた人広岡達朗がスワローズで見た夢』
93歳を迎えた広岡達朗氏の名将としての栄光と、現在の評価には大きなギャップがある。かつてヤクルトスワローズを日本一に導いたこの指導者は、冷酷なまでに徹底した「管理野球」で知られる人物だ。しかし、彼の実像は果たしてどのようなものであったのか?このたび、長谷川晶一氏によるノンフィクション『正しすぎた人広岡達朗がスワローズで見た夢』が刊行される。
書籍が描く広岡達朗の過去と現在
1978年、広岡達朗監督のもとにスワローズは球団史上初の日本一を達成した。彼の名将ぶりは評価されつつも、冷徹であるがゆえに批判を浴びることも多かった。ネット社会の今、その言動が“老害”と揶揄されることがあるが、この本では彼の真実に迫るべく、3年間の取材が行われた。
『正しすぎた人』は、出版社文藝春秋から12月8日に発売され、即重版されるほどの反響を呼んでいる。本書は連載記事の改稿版とのことだが、大幅な書き下ろしが加わり、広岡の「過去」と「現在」を多角的に描いている。
特に注目すべきは、彼がどのようにして弱小球団を改革し、強敵を打ち倒したのかという過程だ。そして、日本一を達成した翌年に何故球団が崩壊し、広岡が去ることになったのか。これらの疑問に対する答えが、本書に詰まっている。過去の栄光と現在の評価の狭間で揺れ動く広岡達朗の姿が浮き彫りになる。
さまざまな証言を交えた内容
本書では、広岡監督本人のインタビューをはじめ、スワローズOBである若松勉氏、松岡弘氏、大矢明彦氏、八重樫幸雄氏、そして広岡の長女・祥子さんなど、多くの関係者の証言が掲載されている。また、ライバル球団である阪急のOBの福本豊氏や、巨人の王貞治氏との対談を通じて、広岡の影響力とその背景にも深く迫る。
長谷川氏は、スワローズファンとしての熱意を持ち込み、広岡達朗という人物を新たな視点で捉えることに成功している。執筆のきっかけは、広岡の「今」を伝えることにあった。名将と老害という二つの評価を経験する彼の言葉は、年齢とともに重みを増している。
プレゼントキャンペーンも実施中
『正しすぎた人』の発売を記念して、特別なプレゼントキャンペーンが開催されている。スポーツグラフィックナンバー編集部の公式Xをフォローし、告知をリポストすることで抽選で3名に長谷川晶一氏のサイン入り単行本が当たるという内容だ。この抽選は、2025年12月19日から23日までの期間中に行われ、結果発表は12月24日に行われる。
この機会に、広岡達朗という野球界の巨星の物語を知り、彼の知られざる一面に触れてみてはいかがだろうか。著書を通じて、ただの銘監督ではない、奥深い人間の魅力に触れることができるはずだ。
書籍情報
- - 書名:『正しすぎた人広岡達朗がスワローズで見た夢』
- - 著者:長谷川晶一
- - 発売日:2025年12月8日
- - 判型:四六判並製
- - 定価:2,090円(税込)
- - ISBN:978-4-16-392053-5
- - 書籍情報:文藝春秋公式サイト