現代を「新しい戦前」にしないために
戦後80年という歴史的な節目を迎えた日本。今、私たちはこの国が再び「新しい戦前」とならないために何を学ぶべきかを考えています。
特に、私たちが学ぶべきは、過去の戦争から得た教訓です。310万人という多くの命が奪われ、周囲の国々にも深い傷を負わせた昭和の戦争。それを防ぐ手立ては何だったのかと振り返ると、私たちの目の前には厳しい現実が広がっています。歴史の風化が進む中、安全保障環境の変化は私たちに新たな課題を投げかけています。
本書『軍国主義という病がひそむ国 保阪正康講演録』では、著者であるノンフィクション作家・保阪正康が、戦争の影響を受けた4,000人以上の戦争体験者との取材を通じ、昭和史の真実に迫った内容を収録しています。この講演録は、2021年から2024年にかけて行われた東京新聞主催の「ニュース深掘り講座」での講演内容を再整理したものです。
歴史を学ぶ謙虚な姿勢
まず、私たちが求めるべきは「歴史を学ぶ謙虚な姿勢」です。過去の行動が現在にどのように影響しているのかを理解することは、未来を見据えるために欠かせません。そのためには、まず自分自身の理解を深める努力が必要です。
講演の中で保阪氏は、「戦争に関する知識が薄れていく中で、我々はどのように平和を維持するのか」という疑問を投げかけています。特に、政府の進める集団的安全保障や敵基地攻撃能力の保有などは、従来の「専守防衛」の概念を大きく変えています。この変化が「新しい戦前」への道を開くのではないかとの危惧を抱く人も少なくありません。
歴史を学ぶことは、単なる知識の蓄積ではなく、私たちがどのように生き、どのように国を守るかを考えるための基盤なのです。
教訓を未来に生かす
このような歴史的な教訓は、未来に生かすべきです。著者は、現在の安全保障環境についての洞察を深める中で、「ウクライナ戦争」と昭和史がどのように交差するのかを問い直しています。戦争の現実と平和の大切さを再確認することで、私たちが持つ責任の重さを理解することが求められています。
また、過去の戦争から何を学ぶべきかを考えるとき、一人ひとりがどのように行動すべきかという視点が重要です。特に、若い世代がこの歴史を正しく理解し、次世代に伝えていくことは、未来の平和日本を築くうえで必要不可欠です。
まとめ
本書は、戦後80年を迎えた今、私たちが直面する課題や未来への展望を提示しています。「平和国家日本」として歩むために必要な教訓を、保阪正康の言葉を通して再認識することが求められるのです。この歴史的瞬間において、私たちはどのように行動し、何を学ぶかが明るい未来を築く鍵を握っています。
2025年6月24日に発売されるこの書籍は、戦後の歴史を学ぶ上で欠かせない一冊となるでしょう。ぜひ手に取って、平和の意味を深く考えて頂きたいと思います。