スーパーコンピュータ「富岳」で進化するAIサポートシステムの実績

スーパーコンピュータ「富岳」が実現する新たなサポート体制

株式会社GFLOPSと理化学研究所計算科学研究センター（R-CCS）は、スーパーコンピュータ「富岳」の利用者向けに導入された生成AIチャット「AskDona」の導入と運用についてのレポートを公開しました。この取り組みは、AI技術がどのように実際のビジネスシーンで活用されているかを示す良い例となっています。

生成AIチャット「AskDona」の実績

その実績は圧倒的です。AskDonaは、月間平均で約680件の質問に対応し、多くの利用者にとって日常のサポートツールとして定着しています。特に注目したいのは、複数の情報を統合する必要がある「複合的なクエリ」の割合が導入から10カ月で2.3%から10.0%に増加したことです。このことは、利用者がAskDonaを単なる検索ツールではなく、思考のパートナーとして認識し始めていることを示唆しています。

効率化の実現

さらに、問い合わせ窓口をAskDonaに統一することで、有人サポートへの質問が劇的に減少しました。2025年4月には前年同月比で最大61%の削減を達成しており、かつて約4時間を要していた問い合わせが、わずか5秒で解決される事例も確認されています。このように、24時間体制で迅速なサポートを提供できるようになったことで、サポート担当者はより高度な業務にシフトできるようになりました。

技術的優位性

独自のAgentic RAG技術も大変注目に値します。「複雑な質問」に対する回答精度は、主要なクラウドプロバイダーのサービスと比較しても際立っており、AskDonaは平均83ポイントという高評価を獲得しました。この結果は、他のシステムが61ポイントであるのに対し、非常に顕著な差を示しています。また、複数の情報を網羅する「網羅性」や専門的な「実用性」においても明確なアドバンテージを持っています。