高専生のキャリアを支える「しごとーく」
概要と背景
国立高専向けキャリアイベント「しごとーく」が、2025年度には全国で17校で開催されることが決まった。この取り組みは、国立高専の約4割にあたる19校が参加するもので、高専生へのキャリア教育をさらに充実させることを目指している。開催する一般社団法人エッジソン・マネジメント協会は、株式会社リンクアンドモチベーションにより設立され、これまでの成功を基に、より多くの地域での効果的なキャリア教育を行うことを目指している。
「しごとーく」とは?
「しごとーく」は、製造業などの技術職に従事する社員が高専を訪れ、自身のキャリア体験ややりがいについて直接学生に伝えるイベントである。このプログラムは、現場で働く大人の実際の生き方を通じて、高専生がリアルな仕事観を身につける貴重な機会を提供している。
それまでは主に大学1、2年生を対象としていたが、2024年度から高専生にもその対象が拡大された。最初の開催は函館高専で、以降全国の学校で開催が進み、2025年度には17校での実施が予定されている。
開催に至る背景
高専卒業生は求人数が豊富ではあるが、「選択肢が多すぎて選びきれない」との声が多い。教員たちからは、ただ選択肢を提示するのではなく、選び方を支援するキャリア教育の必要性が騒がれている。また、高専生は5年間同じクラスで過ごすため、学年末には成績の二極化が生じ、学習意欲が落ち込むこともある。そこで「働く魅力を伝えることで学習意欲を向上させたい」というニーズが高まっている。
企業もまた、特に機械や電気系の人材採用に関する課題を抱えており、高専生に「ものづくりの楽しさ」を伝えたいという思いが強い。しかし、高専と特定の企業が単独で連携することが難しいため、エッジソン協会が公正な立場から高専と企業を結びつけ、このイベントを実施している。
企業の参加と協力
これまで「しごとーく」には、日立やパナソニックなどの大手企業が参加しており、イベント前に実施される事前研修で参加企業の採用担当者からフィードバックを得ることで、技術職の社員たち発信力を強化している。このような連携は「次世代を担う高専生に日本のものづくりの魅力を直接伝えたい」という共通の願いから生まれたものである。
参加者の声
過去に参加した高専生の声には、「技術職の生き様を直接聞けて、自分の進むべき道が明確になった」との感想がある。また、社会人としてのリアルな体験を聞くことができたことで、「新たな学びの機会があることを知りました」といった前向きな声も寄せられている。
主催者のビジョン
一般社団法人エッジソン・マネジメント協会は、「日本を、世界で最も若者が育つ社会へ」という理念を掲げている。その実現には、主要都市だけではなく、地方全域でも志を持った人材を育てることが必須だと考えている。3年後には、すべての都道府県で「しごとーく」を実施する体制を整えたいと考えており、地域に根ざした取り組みをさらに強化することで、多くの高専生がキャリアの選択肢を広げていくことが期待されている。
まとめ
「しごとーく」の拡大は、高専生にとって新たなキャリアの選択肢を提供する重要な機会です。若者が自らの可能性を見いだし、成長していくためには、多様な経験が必要です。この取り組みが、未来の技術者を育成する一助となることを願っています。