新たな接着技術、弾塑性接着剤「TGA®-3」の登場
2025年に開催される大阪・関西万博では、さまざまな革新的な技術が披露されます。その中でも注目を集めているのが、セメダイン株式会社が開発した弾塑性接着剤「TGA®-3」です。本記事では、この接着剤がどのように万博の建設に貢献するのか、詳しく紹介していきます。
弾塑性接着剤「TGA®-3」とは?
「TGA®-3」は、高い剛性と接着強度を備えながらも、延性的な特性を持つ新しいタイプの接着剤です。この接着剤は金属のように、接着が破断した際にも弾性変形に加えて塑性変形を持つため、接合部が粘り強くなります。この性質により、脆性破壊のリスクを大幅に減少させることができ、より信頼性の高い接合が可能になります。
万博プロジェクトへの採用
2025年大阪・関西万博の「シグネチャーパビリオン」の中でも、特に注目を集める「EARTH MART」。このプロジェクトでは、弾塑性接着剤「TGA®-3」が鉄骨構造のブレース接合部に用いられています。大成建設株式会社が施工を担当し、接着剤と高力ボルトを併用したハイブリッド接合を実現。これにより、接合部の面積を20%も削減できることが確認され、従来の工法に比べて高い効率性を持つことが期待されています。
接着技術の革新
従来、建設業界では鋼材同士の接合には溶接やボルト接合が主流でした。しかし、これらの方法は脆い破壊につながることがあります。TGA®-3は、接着時の安定性を向上させることで、新たな接合技術を提供します。出発点として、この接着剤がもたらす価値は、建設分野にとどまらず、自動車や航空など広範な分野にも波及することができると考えられています。
セメダインの企業理念
セメダインは「つけるが、価値。」を企業理念として掲げ、接着技術を通じたものづくりのソリューションを提供しています。また、モビリティやインダストリー、エンジニアリングにおけるイノベーションにも力を入れており、次世代のエンジニア育成にも積極的に取り組んでいます。「高専ロボコン」や「小学生ロボコン」のイベント協賛を通じて、未来の技術者たちを支援し続けています。
まとめ
大学や研究機関だけでなく、民間企業が開発した革新的な材料が、次の世代の建設技術を進化させています。2025年の万博で初めて実績を積む弾塑性接着剤「TGA®-3」は、今後、さまざまな産業で幅広く利用される可能性があります。これにより、接着接合の新しい時代を迎えることになります。
今後もセメダインは、この技術を活用し、さまざまな分野への適用拡大を目指して取り組んでいくことでしょう。