特別講義で学ぶ作画の要素
アニメーション制作の世界で高く評価されている神志那弘志氏が、作画にかかわる大切な知識を講義する特別イベントが開催されました。彼はアニメ「HUNTER×HUNTER」や「魔神英雄伝ワタル」など、多くの人気作品の監督を務めており、その豊富な経験を基に、作画の要素について具体的に教えてくださいました。
デッサン力の重要性
まず、神志那氏は「画力(デッサン)」について語りました。デッサン力を上げる鍵は、対象物の構造を理解することだと彼は強調しました。特に人物の場合、骨や筋肉の動きが重要であり、何よりも足の先端の構造を例にしました。どの指がどのように動くか、そしてどのように傾くかに注意深く観察しながら描くことが求められるのです。実際のデッサンでは、体重のかかり方がどのように影響するかを理解することが不可欠で、構造を知ることでよりリアルな表現へとつながるとのことでした。
パースの新しい視点
次に、「パース」についての説明がありました。通常、パースは一点透視や三点透視で語られますが、神志那氏はすべての絵が三点透視であると考えていると話しました。二点透視では、見えにくい隠れた一つの点が存在しているため、しっかりと考える必要があります。更に、描く際にはどこから見ているのかを意識することが非常に大事で、その違いが背景に大きな影響を与えることを強調しました。カメラの位置によって見え方が変わることを理解するために、実際の資料を使って具体例を示しながら説明し、聴衆の理解を深めていきました。
表現力を磨くために
神志那氏は次に、アニメーターにとって不可欠な「表現力」について語りました。「アニメーターはまさにアクターである」と彼は述べ、観察力を磨く重要性を強調しました。街を歩く際には人々の動きや服のしわに目を向け、常に観察を怠らない姿勢を持つことが求められます。さらに、アニメーション制作に役立つ実写映画観賞の方法を提案し、「好きな映画を10回観ることで、その映像的な演出を深く理解し、分析的な視点を持つことができる」とアドバイスをもらいました。
AMGアニメーション学科の紹介
この講義を主催したのは、エンタテインメント業界の即戦力を育成することを目指すAMG(アミューズメントメディア総合学院)です。同校は、アニメーターや監督専攻を設け、さらに制作管理や演出など幅広く学べる環境を提供しています。学生たちは、プロと同様の方法で行う共同制作や個人制作を通じて、2年間で合計4本のアニメを制作する機会があります。0730
このような実践を通じて、業界で活躍するためのスキルと経験を積むことができるのです。加えて、プロのアニメーターによるアドバイスを受けながら進めることで、確かな処理能力と技術を身につけられます。それにより、卒業生のほとんどは業界での長期的なキャリアを築くことができています。
結論
アニメーターや監督として成功を目指すためには、神志那氏のような経験豊富なプロから学ぶことが不可欠です。彼の講義を通じて、技術の向上だけでなく、多様な視点を持つことの重要性を実感した受講生たち。今後もこうした体験を通じて、彼らの成長を応援していきたいものです。