オペラ映画『トゥーランドット』が映画館に登場
2023年6月20日から、映画館で大ヒットオペラ『トゥーランドット』が公開されます。これは、英国ロイヤル・オペラが誇る名作であり、数々の伝説的歌手が初演を飾ったことでも知られています。特に1984年のアンドレイ・セルバン演出版は、多くの観客に感動を与えてきました。
セルバン演出の魅力
井内美香氏、オペラ・キュレーターは、本作の美しさについて、「《トゥーランドット》の世界観を余すところなく描き出す」と絶賛しています。古代中国を舞台にした美術のセットや、木製ギャラリーによって演出された圧巻の視覚効果が、観客を物語の中へ引き込むのです。さらに、ケイト・フラットによる振付や照明、スモークを駆使した演出が、ドラマチックな演出を生み出しており、「音響的にも演劇的にも理想の空間」として評価されています。
シネマ版には特別な魅力もあります。関係者インタビューを収録した映像もあり、初演時の振付家ケイト・フラットが演出について話す貴重な機会となっています。井内氏は、「この映像は必見です」と強くおすすめしています。
実力派キャストの魅力
本作の魅力は何と言っても実力派キャストたちです。トゥーランドット姫を演じるソンドラ・ラドヴァノフスキーは、「圧巻の一言」と評される歌唱力で、特に第2幕のアリアから第3幕にかけてのパフォーマンスで、観客の心を掴みます。カラフ役のソクジョン・ベクも、「誰も寝てはならぬ」を歌うために存在するかのような素晴らしい声で、観客を魅了すること間違いなしです。
リューを演じるジェマ・サマーフィールドは、豊かな音楽性で観客を虜にします。特に、セルバン演出の中で重要な役割を担っているピン、パン、ポンの3人も見逃せません。彼らは、音楽的に重要なパートを演じるだけでなく、故郷を懐かしむ場面でも人間味あふれる演技を披露しており、演出の繊細さが丁寧に表現されています。
プッチーニの音楽に込められたメッセージ
井内氏は、プッチーニが描いたリューの存在こそが、本作の本質的魅力だと指摘します。リューの死後の展開には賛否が分かれますが、セルバン演出を見ることで、彼女の存在がドラマの核心をついていることを実感できると語ります。「多くの葛藤を抱えて生きる現代人にこそ、この舞台を体験してほしい」とも話されており、このオペラが持つ深いメッセージが伺えます。
ちょっとしたまとめ
映画館での『トゥーランドット』は、オペラの魅力を新しい形で再発見する絶好の機会です。美しい映像として楽しむことができ、またキャストやスタッフの思いを知ることで、より深い感動を得ることができるでしょう。ぜひ足を運んで、この感動的なオペラを体験してください。