登山者の安全を守る！新通信技術が山岳救助を変える

登山者のための新しい救助制度

2025年5月30日、長野県北沢峠にて、株式会社ヤマレコ、KDDI株式会社、長野県警察が協力し、山岳救助実証試験が行われました。この試験では、衛星通信サービス「au Starlink Direct」と登山アプリ「ヤマレコ」を利用し、山間部での遭難者の救助時間を大幅に短縮することに成功しました。

山岳遭難の現状

最近の統計によると、2023年には全国で過去最多の3,126件の山岳遭難事故が発生しています。特に、電波が届かない山岳エリアでは、遭難者が助けを求める手段がなく、家族や緊急サービスに状況を伝えるまでに何日もかかることも少なくありません。

長野県内では、このような状況を打破すべく、KDDIやヤマレコが新しい救助システムの開発に乗り出しました。特に注目されたのは、衛星を通じてリアルタイムで情報を伝えるシステムの導入です。

実証内容

本実証では、遭難者が山間部の圏外エリアから、スマートフォンと衛星を通じて「ヤマレコ」に遭難状況を送信できることを確認。これにより、遭難状況（位置情報、装備、保険加入状況など）を家族及び警察に迅速に共有できる仕組みが整いました。従来、救助初動までに数日から数十日かかったところが、今回の実証では30分という短時間で初動が可能になりました。

救助に必要な情報のリアルタイム共有

遭難者が送信した情報は、長野県警察の遭難者情報照会システム「SAGASU」に連携され、家族にも迅速に通知されます。このシステムによって、位置情報や負傷情報などが把握され、より迅速な救助が実現しました。これまで遭難者の状況が不明だったために、予想に基づいて救助していた状況が改善される見込みです。

KDDIとヤマレコの挑戦

KDDIは、山小屋に「山小屋Wi-Fi」を導入するなど、山岳エリアの通信環境整備にも力を入れています。さらに、夏以降には本格運用を予定しており、多くの遭難者を救うための体制を整える方針です。ヤマレコも同様に、アプリの普及を進め、多くの登山者に利用してもらうことで、安全な登山環境の実現を目指しています。