日本の金融機関をめぐるLNG運搬船融資要請
2026年9月2日、東京にて、アジアから北米に至る33の市民社会団体が、日本の金融機関に対して共同で書簡を送付しました。この書簡は、液化天然ガス(LNG)運搬船への融資を行う34の金融機関に対し、30日以内の回答を求めるものでした。
この作業の主導を担ったのは、非営利団体SFOC(Solutions for Our Climate)であり、日本を含む各地域の環境問題に取り組む団体が協力しています。書簡では、以下の重要な要点が挙げられました。
1.
環境・社会デューデリジェンスの実施: LNG運搬船への融資の際には、海洋生物多様性や地域住民の権利に関する影響を考慮する必要があります。これには、環境影響評価を組み込んだデューデリジェンスが求められます。
2.
累積的な影響の認識: LNG運搬船は移動可能ではあるものの、それに伴う環境や社会的影響を軽視してはいけません。個別の船舶だけでなく、全体の事業評価が必要です。
3.
融資対象の見直し: 日本の金融機関は、グリーン金融商品などからLNG運搬船を除外する方針を導入すべきです。
4.
供給過剰のリスク: 2030年までにLNG運搬船が供給過剰に陥る可能性を考慮し、融資判断を行うよう求めています。
5.
融資情報の開示: モザンビークLNG事業向けの船舶への融資の情報開示が求められています。
これらの要請は、日本の金融機関が世界のLNG運搬船向け融資の最大の供給者であることから生じています。特に、三菱UFJフィナンシャル・グループや三井住友フィナンシャルグループなどの主要な金融機関は、2020年から2025年までに、全世界のLNG運搬船プロジェクトファイナンスの約26.9%にあたる17億7,000万米ドルを提供したとされています。
また、日本の金融機関が融資を行っているLNG運搬船は、コーラル・トライアングルやモザンビーク海峡など、環境的に敏感な地域を航行しています。しかし、書簡の賛同団体によると、これらの船舶の環境影響評価が行われていないことが指摘されています。SFOCの調査により、日本企業が保有するLNG運搬船が生じる年間の温室効果ガス排出量は、約20億8,400万トンに達するとされています。これは、日本の年間温室効果ガス排出量の2倍以上に相当します。
さらに、海外の金融機関ではLNG運搬船への融資を制限している動きが増える中、日本の金融機関の対応は国際的な潮流から取り残されつつあります。加えて、第三者機関による予測では、LNG運搬船が2030年までに40%の供給過剰に陥る可能性も指摘されています。こうしたリスクは、融資を続ける金融機関にとっての財務的な負担を高める要因となっています。
共同書簡に参加した団体の代表者は、日本の金融機関に対し、適切な環境デューデリジェンスを行う必要性を強調し、温室効果ガス排出量が著しいLNG事業への金融支援を続けるべきではないと訴えています。
今後、日本の金融機関が国際社会の要請にどのように応えていくのかが注目されます。この問題は、単なる環境問題にとどまらず、国際的な気候変動対策や持続可能な発展にかかわる重大な課題となっています。