KnowBe4の調査結果を受けて
統合的なヒューマンリスクマネジメントを提供するKnowBe4は、職場におけるAIの利用状況と企業ポリシーの認識に関した調査結果を発表しました。この調査はドイツ、南アフリカ、オランダ、フランス、英国、米国を対象に行われ、職場でAIを活用している従業員が多い中で、その利用に関する公式ポリシーを理解している人は非常に少ないことが明らかになりました。
調査の主な発見
調査によると、AIツールを職場で利用している従業員は平均して60.2%でした。一方、自社のAI利用に対するポリシーを認識している従業員はわずか18.5%で、この乖離は職場におけるAIの利用実態を浮き彫りにしています。また、従業員の10%は、業務中に顧客データをAIツールに入力した経験があると回答しており、このデータは重要なリスク要因を示唆しています。
地域別の差異
職場でのAI利用率は地域によって異なります。例えば、フランスでは54.2%の従業員がAIツールを利用していると回答する一方、南アフリカでは70.1%に達しており、地域ごとのAI活用の進展に大きな差が見られます。
ポリシー認識の課題
また、調査は従業員の平均14.4%が、自社のAIポリシーについて「認識していない」と回答しており、特にオランダと英国でこの割合が高いことが明らかになりました。これは企業がAIポリシーを従業員に周知するための努力が不足していることを示唆しています。
必要な対策
AIツールを利用する従業員のうち、IT部門やセキュリティチームの認知のもとで利用している人はわずか17%にとどまり、安全性の確保が懸念されます。この状況を改善するためには、企業はポリシーを策定するだけでなく、従業員に対する包括的なトレーニングを提供し、承認されたAIツールを積極的に導入する必要があります。これによって、意図しない情報漏洩のリスクを軽減することが期待されます。
KnowBe4の見解
KnowBe4のデータドリブン防御エバンジェリスト、ロジャー・グライムスは「AIガバナンスのギャップは組織にとっての時限爆弾」と指摘しています。約80%の従業員がAIを活用する中で、適切な利用方針を理解していないのは非常に危険です。AIツールが持つ強力な機能を背景に、企業はしっかりとしたポリシーとトレーニングを整備する必要があるでしょう。
調査の概要
この調査はCensuswideによって実施され、対象は業務の一部でコンピューターを使用している従業員12,037人です。データは2024年7月17日から7月25日の間に収集され、調査手法はMarket Research Societyの基準に則っています。
AIガバナンス協会への加盟
知識の普及と議論の促進を図るため、KnowBe4 Japanは一般社団法人AIガバナンス協会(AIGA)に加盟しました。企業における安全で柔軟なAI活用に向け、今後も貢献を続けていく方針です。詳細は公式ウェブサイトをご覧ください。
まとめ
KnowBe4の調査結果は、職場でのAI利用が進む一方で、公式ポリシーの認知が遅れていることを明らかにしています。このギャップを解消するためには、企業全体での情報共有やトレーニング、そして正しいツールの導入が急務です。さまざまなリスクを軽減するために、持続可能なAIガバナンスが求められています。