キャリアの空白期間に対する企業の見解
近年、仕事におけるキャリアの空白期間、いわゆる「キャリアブレイク」に対する企業の理解が進んでいないことが明らかになりました。レバレジーズ株式会社が実施した調査によると、全体の約4割の企業が「キャリアブレイク」という言葉を知っているものの、その認知度には企業規模によって顕著な差が見られました。
キャリアブレイクの認知状況
調査結果によると、企業の38.3%が「キャリアブレイクについて知っている」と回答し、さらに34.5%が「言葉は聞いたことがある」としています。合計すると、約7割の企業がこの概念に何らかの形で触れています。特に、社員数1,000人以上の大手企業では認知度が8割を超える一方、少人数の企業ではその認知度は大きく減少する傾向にあります。これは、キャリアブレイクに対する理解度が企業規模によって異なることを示しています。
採用判断における空白期間への影響
キャリアの空白期間が採用判断に影響を及ぼす理由として最も多く挙げられたのは「仕事への耐性が弱そうだから」という意見で、全体の52.5%を占めました。身体的・精神的な理由での離職について懸念を抱く企業も多く、特に採用活動においては候補者の健康状態やメンタルヘルスに対する心配が目立つ結果となりました。
一方で、特定の理由に基づいたキャリアブレイクの場合、たとえば「留学やワーホリ」や「結婚・子育てなどのライフイベント」などは多くの企業において採用に影響しないと見なされています。これは、自己成長ややむを得ない事情によるケースが理解されやすいからでしょう。
見落とされがちなキャリアの空白期間
興味深いことに、中途採用を行う企業の約37.4%が「キャリアの空白期間があっても採用判断に影響しない」と回答しています。これは、空白期間があることが必ずしもネガティブに捉えられているわけではないことを意味します。
また、回答企業のうち32.8%は、1年以上の空白期間に対しては影響を考慮するものの、半年未満の空白期間については大きな影響を及ぼさないとしています。このことから、企業によっては候補者のキャリアの背景やその期間に何をしていたのかに対して柔軟に対応していることが伺えます。
今後の展望
今回の調査からは、企業のキャリアブレイクに関する理解はまだまだ不足しているものの、約4割の企業がその空白期間が採用判断に影響しないという意見を持っていることが分かりました。これは、職を求める候補者にとって希望の持てる状況と言えるでしょう。
企業は、キャリアブレイクを持つ候補者に対しても積極的なアプローチを図ることで、これまで見落としていた優秀な人材を採用するチャンスを広げることが可能です。キャリアの空白に対する理解を深め、より多様な人材を受け入れていくことが重要な時代に突入しています。今後の採用活動においては、候補者がどのような経験をし、どのような価値観を持っているのかを重視していく流れが強まるでしょう。
調査概要
- - 調査対象:現在中途採用を行っている人事334名
- - 調査実施期間:2024年11月12日~11月14日
- - 調査方法:インターネット調査
この調査に基づき、キャリアの空白期間に対して企業がどのように対応しているのか、今後の企業形態や採用手法に影響を与える要因ともなり得るでしょう。