かこさとしの幻の遺稿『くらげのパポちゃん』、待望の発売決定
日本の絵本界に多大な影響を与えたかこさとし氏の未発表作品『くらげのパポちゃん』が、2025年2月上旬に発売されることが決まりました。これは彼が亡くなるまでに取り組んでいた戦争についての思いを反映した一作であり、出版業界にも大きな注目が集まっています。
かこさとしとは?
かこさとしさんは、「だるまちゃん」や「からすのパンやさん」といった名作で知られる絵本作家で、彼の執筆活動は1950年代から始まりました。588作品以上の著作を持ち、子どもたちに夢を与える作品を多数生み出しました。終戦後は、戦争を経験した少年としての思いや、自身のトラウマを踏まえ、子どもたちに平和の大切さを伝えるために絵本づくりに全力を注ぎました。
未発表原稿の発見
かこさとしさんが長年温めていた『くらげのパポちゃん』という作品は、2023年の年末に発見されました。この作品は、戦後日本を舞台に、主人公のくらげ・パポちゃんが父親を探す旅に出る物語です。彼は、戦地に向かう途中で亡くなってしまった父の行方を追い求め、様々な海の生き物に出会いながら、不思議な冒険を繰り広げます。
絵の制作とその思い
『くらげのパポちゃん』は、かこさんの意向により原稿のみの状態であったため、絵が必要でした。そこで絵を描くことになったのは、かこさんの孫、中島加名さんです。彼女は、幼少期にかこさんの作品に触れ、その影響を大いに受けて育ちました。自身で描くことで、祖父の残した想いやメッセージを伝えようと決意したのです。
加名さんは、絵を描く際には祖父の心の奥に存在していた戦争への思いを、特に意識したとのこと。その結果、彼女の手によって、約70年の時を越えたこの作品は、一つの形となりました。
発売予定と今後の展開
『くらげのパポちゃん』は2025年2月5日ごろの発売が予定されており、予約も受け付けています。書籍は40ページ、価格は1700円(本体価格)。出版にあたり、鈴木万里さん(かこさとしの娘)と中島加名さんによる記者会見も予定されています。
終わりに
かこさとしの温かいメッセージが込められたこの作品は、私たちが忘れてはいけない大切なテーマ、戦争と平和について考えさせるきっかけとなるでしょう。『くらげのパポちゃん』を通じて、次世代の子どもたちにどのように伝わっていくのか、期待が膨らみます。彼の独自の視点と、次世代の期待が織り交ぜられたこの作品を、皆さんもぜひ手に取ってみてください。