商船三井、LBCタンクターミナルの買収でケミカルロジスティクスを強化
株式会社商船三井(本社:東京都港区、社長:橋本剛)は、ケミカルロジスティクス事業の強化を目指し、欧州および米国での大手タンクターミナル会社であるLBC Tank Terminals Group Holding Netherlands Coöperatief U.A.(本社:ロッテルダム、社長:Frank Erkelens)の100%株式を取得する旨の決議を行いました。この持株取得契約は2025年3月7日に締結され、その価格は約1,715百万米ドルに達すると見込まれています。ただし、取引の実行には関連当局からの許認可が必要です。
LBCタンクターミナルの概要
LBC社は、欧州のアントワープやロッテルダム、また米国湾岸地域のヒューストンやフリーポート、バトンルージュにおいて、計7つのターミナルを運営している、世界的にも有名なタンクターミナル業者です。合計300万立方メートルのタンク容量を持ち、岸壁施設やパイプライン、さらに鉄道やトラックへの発送施設を備えています。これらのインフラを利用し、化学品メーカーやエネルギー企業等への貯蔵サービスを提供しています。
ケミカルロジスティクスの成長戦略
商船三井は、今後の成長が見込まれるケミカルロジスティクス事業を戦略の中心に据えています。過去には、2019年にNordic Tankersを、2024年にはFairfield Chemical Carriersを取得し、事業規模を拡大しました。LBC買収により、タンクターミナルでの陸上保管機能を新たに加えることで、海上輸送からタンクコンテナを用いた小口輸送まで多様なニーズに応える「ケミカルトータルロジスティクスサービス」を実現することを目指します。
さらに、脱炭素社会の実現に向けて、アンモニアやCO₂といった次世代エネルギーの輸送需要の拡大も予想される中、陸上貯蔵ビジネスを新たに成長領域に取り込むことで、さらなる事業の進展が期待されています。
投資の展望と経営計画
LBC社はタンクキャパシティの拡張を計画しており、この投資による想定利回り(エクイティIRR)は約10%とされています。商船三井は、ケミカルタンカー事業やタンクコンテナ事業との間でシナジーを最大限に引き出し、さらなる成長を追求しています。また、経営計画「BLUE ACTION 2035」に基づき、海運不況時にも黒字を維持できるポートフォリオの確立にも取り組みます。
本買収は2025年3月期の連結業績に与える影響は軽微と見られており、期末配当予想に変更はありません。今後の展開が注目される中、商船三井の持続的な成長に期待が寄せられます。