新たな行政サービスの可能性
大日本印刷株式会社(DNP)が展開する「メタバース役所」と、日本加除出版株式会社が提供する「離コンパス」のAI相談員機能が連携した実証事業が、高い評価を受けています。この取り組みは、地域住民が気軽に相談できる環境の整備を目指し、行政DXの一環として位置付けられています。
実証事業の概要
本実証事業は、7つの自治体を対象に行われ、DNPが提供するバーチャル空間「メタバース役所」内に、離コンパスのAIカウンセラー機能を搭載したアバター相談員が配置されています。参加者は、パソコンやスマートフォンから無償でアクセスでき、匿名で24時間相談が可能という点が大きな利点とされています。
参加者の反応
実施期間中、105名がこのサービスを利用し、75件の具体的な相談が寄せられました。参加者の多くは女性(55%)で、年齢層は40代が最多(55%)、続いて30代と50代がそれぞれ20%を占めました。利用状況では、特に平日昼間だけでなく、早朝や祝日にも相談があるなど、様々な時間帯での利用が確認されています。
利用者の評価
参加者からは、「AIだからこそ気軽に相談できる」との声が多く、匿名で利用できる点やプライバシーが配慮された環境が高く評価されました。約85%の利用者がAIとの対話を自然と感じ、65%が心の軽さを実感したと回答しています。さらに、AIが24時間対応可能であることが、多くの人にとっての大きな魅力とされています。
自治体からのフィードバック
自治体側からは、住民が来庁や電話では申し出にくい内容についての相談の手助けとなり、既存のチャネルでは難しかった住民との接点が生まれることへの期待が寄せられました。これにより、自治体職員の負担軽減や、より専門的な相談へのスムーズなシフトが可能になるという見込みがあります。
今後の展開
この実証事業の成功を踏まえ、今後はAI相談員の機能を拡充し、さらに多くの相談内容に対応することが計画されています。AIが対応可能な軽度の相談に加え、より複雑な問題には自治体職員や専門家が介入し、利用者にとってより効果的なサービスを提供する仕組みが整備される見通しです。
「離コンパス」とは
「離コンパス」は、家族や離婚に関連した法律問題に対応する情報提供サービスです。日本加除出版が蓄積した専門的知識と、AI技術を融合させることで、個々の悩みに寄り添うサービスを提供しています。
このように、メタバース役所と離コンパスが連携することで、新たな行政サービスの形が見えてきました。これにより、多くの人々に支援が行き届くことが期待されています。