企業の倒産リスク分析
2025-02-03 15:49:33

物価高と人手不足の影響、倒産リスクが高まる企業の実態

株式会社帝国データバンクが実施した調査によると、今後1年以内に倒産する可能性が高い企業が全国で約12.7万社に上ることが分かりました。この倒産リスクは、物価高や人手不足といった経営環境の厳しさから影響を受けており、特に建設業では前年比で18.2%も増加しています。

倒産予測値という指標に基づいて算出されたリスク指標によれば、全国の企業147万社の中で、高リスク企業の割合は8.6%に相当する12万6960社です。業種別に見ると、建設業が最も多く2万8817社で、製造業や小売業もそれに続いています。特に飲食店の高リスク企業は44.4%にも達し、経営が難しい状況が深刻化しています。

この数値を見て分かるように、この3年間はコロナ禍の影響から一時的に倒産件数が減少しましたが、2024年には再び倒産件数が1万件に迫る勢いです。新型コロナウイルスによるゼロゼロ融資の影響が薄れ、返済が始まることで、資金繰りが厳しい企業が増加しています。

建設業では、職別工事業が最多の1万4301社で、高齢化による後継者不足や、賃金高騰、必要な人手確保が難しくなっています。さらに、受注数が減少しているにもかかわらず、人件費が上昇する一方で、資材費も高騰している現状が見受けられます。これにより、多くの企業が稼働率を低下させ、長期的な工事の進行を余儀なくされ、結果的に資金繰りが困難な状況に追いやられています。

飲食店業界も危機的な状況にあり、倒産件数は894件と過去最多を更新しています。特に小規模の飲食店では、原材料や人件費の高騰が経営を圧迫し、倒産リスクが高まっている状況です。大手飲食チェーンがコスト削減や価格転嫁に成功しているのとは対照的に、小規模飲食店では物価高を適切に転嫁できないため、倒産が懸念されます。

製造業でも倒産リスクは増加しています。倒産件数が1145件に上り、原材料や物流コストの高騰が企業を襲っています。特に一般機械器具製造業では前年比66.0%も増加しています。特に小規模企業では価格の転嫁が難しく、厳しい状況に直面する企業が多く見受けられます。

一方で、運輸業も厳しい状況にあるものの高リスク企業の割合は減少傾向にあり、経営者の高齢化や休廃業の問題が進行しています。これらの業界全てに共通するのは、原材料や労働力の確保の難しさです。

会社の規模別に見ると、売上高10億円未満の企業が全体の96.5%を占めており、小規模企業が多いことが特に見て取れます。この小規模企業が多数を占めることで、経営環境が若干改善されたケースがあるとはいえ、底堅い変化に結びつくのは難しいといえます。

今後の展望として、業種によっては倒産リスクが依然として高いものの、各企業においては事業の改善に努める動きが見受けられます。M&Aなどを活用した新たな事業の展開に向けた取り組みも注目され、その中で新しいビジネスチャンスが広がっていく可能性があります。しかし、環境の厳しさが一変することは期待できず、企業は今後、この状況をどのように呑み込み、適応していくのかが生き残りのカギとなるでしょう。


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会社情報

会社名
株式会社帝国データバンク
住所
東京都港区南青山2-5-20
電話番号
03-5775-3000

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