井上佐由紀の新展覧会「はじまりと終わりに見る色を」
2025年10月31日から12月21日まで、東京都千代田区に位置する東條會館写真研究所にて、写真家の井上佐由紀による最新の展覧会が開催されます。この展覧会のテーマは「おそれ(恐れ)」であり、特に「赤い色」に焦点を当て、生命と死に対する彼女の深い思索が展開されます。
井上佐由紀は、幼少期に彼岸花が咲く場所で感じた恐怖からインスピレーションを得ています。この花は毒を持ち、彼岸の時期に咲くことから不吉な象徴とされています。「人は初めに赤を認識し、最期も赤を認識する」という言葉に触れた彼女は、その恐れを写真として表現しようと決意しました。作品には、光が減衰する過程や、色の存在についての哲学が凝縮されています。
展覧会の特徴と意義
この展覧会では、色が持つ不確かさや、同じものを見ているのにそれぞれが異なる理解を持つことが強調されます。特に、現代においてSNSやデジタルメディアから影響を受ける色の意味が薄れてしまう様子が描写されており、色がもつ生々しさと無常さを体験することができます。井上の作品を通じて、来場者は「見ること」と「色を感じること」に深く向き合う機会を得るでしょう。
展示概要
- - タイトル: はじまりと終わりに見る色を、私は知らない
- - アーティスト: 井上佐由紀
- - 会期: 2025年10月31日(金)〜12月21日(日)
- - 場所: 東條會館写真研究所(東京都千代田区麹町1-6-12)
- - 開館時間: 金・土・日・祝 13:00〜19:00
- - 入場料: 無料
- - 公式ウェブサイト: Tojo Photo Lab
- - Instagram: @tojo_kaikan_photo_lab
体験型イベント
展覧会期間中には、関連するイベントも予定されています。色に対する理解を深めるためのトークイベントや、暗室を体験するワークショップ、子供向けのファミリーイベントなど、多様なプログラムが開催される予定です。特に、赤い色をテーマにした食を楽しむイベントもあり、参加者同士が色への感受性を共有する場となるでしょう。このような実体験を通じて、色に対する認識が広がり、井上の作品に対する理解がさらに深まります。
井上佐由紀のアートの背景
井上佐由紀は1974年に福岡県柳川市に生まれ、九州産業大学で写真を学びました。これまでに多くの個展やグループ展に参加しており、特に彼女の作品は他の国の美術館でも評価されています。その独特な視点で捉えた色と光の関係性は、多くの人々に感動を与えてきました。
このように、井上佐由紀のアートは色を通じた人間の存在の深さや、生命と死に対する問いかけを含んでいます。展覧会を通じて、彼女の視点に触れることで、来場者は自らの「おそれ」に向き合う機会となることでしょう。今後の色彩の探求がどのように展開されるのか、非常に楽しみです。