フェアトレード・ワークプレイス制度が企業にもたらす新たな風
フェアトレードの理念を取り入れた企業の取り組みが広がりを見せています。認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパンが運営する「フェアトレード・ワークプレイス登録制度」は、導入から1年半が経過し、多くの企業が参加するようになりました。この制度は、企業が社内でフェアトレード認証製品を調達することで、持続可能性への取り組みを内包させることが目的です。社員のウェルビーイング向上を図る施策としても注目されています。
導入の背景とメリット
この取り組みの背景には、社内の飲料や物品をフェアトレード製品へ移行することで、企業が気軽にサステナブルな調達を行える利便性があります。また、フェアトレードの導入は、外部評価や企業価値向上に寄与するだけでなく、従業員のサステナビリティ意識やロイヤリティの向上にもつながるとされています。日常的な選択を通じて社会貢献を実現するこの制度は、企業におけるウェルビーイング施策としても評価されています。
最新の導入企業とその成果
アストラゼネカ株式会社
アストラゼネカは、2024年に登録後、2025年にはフェアトレード・ワークプレイス・ゴールドに移行します。社内カフェでは、国際フェアトレード認証のコーヒーや紅茶を提供し、年間2万杯以上の提供を達成しました。この取り組みは、社員がフェアトレードの意義に触れる機会を増やし、環境や生産者への配慮が高まっています。
大日本印刷株式会社(DNP)
2006年からフェアトレード製品を導入し、2024年度には社内での提供が20万杯を超える見込みです。社内消費のパイオニアとして認められ、サステナビリティに対する理解を深めています。社員が積極的に関与できる仕組みが築かれており、商品選びを通じて社会貢献につながる環境が整っています。
日本郵船株式会社
日本郵船は、社内のすべてのコーヒーや紅茶をフェアトレード製品に切り替え、累計で約71万杯を提供してきました。社内での意識向上を図るために啓発活動を行っており、社員の持続可能な選択を促しています。
アクセンチュア株式会社
新たに参加したアクセンチュアは、フェアトレードチョコレートを社内カフェで提供し、社員が日常的にフェアトレードに触れる機会を作っています。環境負荷を減らすため、プラスチックフリーの商品選定に取り組んでおり、社員同士の共有が進んでいます。カフェを通じて自然にフェアトレードについて学べる環境を整え、社会貢献の意味を考える機会が提供されています。
喜多機械産業株式会社
長年にわたりフェアトレードを寄付という形で支援していた喜多機械が新たにワークプレイス制度に参加。「FIKAタイム」を導入し、社員が集うコーヒータイムにフェアトレード製品を取り入れ、コミュニケーションの活性化を図っています。
公益社団法人 日本プロサッカーリーグ
Jリーグは、スポーツ業界から初めてフェアトレード・ワークプレイスに参加しました。日常生活の中で社会や環境に配慮した取り組みを促進し、サッカーを通じたポジティブな影響を広げることに貢献することを目指しています。
フェアトレードを支える社会的意義
フェアトレードは、人との関係や環境に配慮した貿易を促進することを目的としています。そのため、企業がこの制度を導入することは、生産者や環境により良い影響を与えることに繋がります。日本の企業もこの制度を取り入れることで、持続可能な社会の実現に寄与することが期待されます。
未来への期待
フェアトレード・ワークプレイス登録制度は、今後も様々な企業で導入が進むことでしょう。社内での勉強会や説明パネルの設置を通じて、社員一人ひとりが持続可能性を考えるきっかけとなり、企業としてのサステナビリティ意識が高まることを期待しています。従業員が日常の中で選択することが、誰かの生活を支え、さらに社会貢献へと繋がる。この連鎖を実現するために、フェアトレードは非常に重要な役割を果たしています。