TXP MedicalとUCLAによる特別座談会
TXP Medical株式会社は、公式noteアカウント「Medical Data Lab」にて、「ライフサイエンスの未来地図」という座談会シリーズの第3弾を発表しました。今回は、米UCLAで医療政策研究を行う津川友介准教授をゲストに迎え、医療データの進化について深掘りしました。特に「レセプト」から「電子カルテ」への移行が、どのように医療データの構造を変えているのかを中心に議論を進めました。
登壇者の紹介
座談会には、以下の専門家が参加しました:
- - 津川友介氏:UCLA医学部・公衆衛生大学院 准教授
- - 園生智弘:TXP Medical代表取締役CEO
- - 大角知也:TXP Medical医療データ事業部 戦略推進責任者/Medical Data Lab所長
主要な議論のポイント
座談会では、以下の点が強調されました:
- - 「影絵」から「カラー映像」へ:電子カルテがもたらす臨床データの可視化は、医療判断の質を向上させる。
- - 「代表性」はN数ではない:多くのデータが必ずしも優れたデータを保証するわけではなく、質の高い変数を用いた補正の重要性。
- - 「平均の罠」と新しいEBM:電子カルテを活用し、「誰に効果があったのか」を再定義することが必要。
- - テクノロジー×倫理の最前線:再特定リスクとFederated Learningの展望について。
データの質の重要性
日本における医療データの活用において、「N数の多さが良いデータである」という誤解が根強い中、この座談会では「誰から、どのように得られたデータなのか」、つまりデータの質の重要性を再認識しました。電子カルテの持つ高精細かつ頻度の高いデータは、質の高い分析を可能にし、新たな医療の可能性を切り開く鍵となります。
平均の罠と個別化医療
特に津川准教授が強調したのは「平均の罠」という概念です。臨床試験によって効果が“平均的に無効”とされた治療法が、実は特定の患者には大きな成果を見せる可能性があるという点です。電子カルテから得られる詳細なデータは、これを可視化する手段です。
この視点は、創薬成功率の向上だけでなく、今後の「個別化医療」への道を拓く上でも極めて重要です。
今後の展望
TXP Medicalは、引き続き『Medical Data Lab』を通じて、製薬企業や医療機関、アカデミアとの連携を強化し、医療データ活用の未来についての議論を展開していく予定です。「共に考え、共に挑み、共に変革する」という理念のもと、医療の革新を目指します。
Medical Data Labの紹介
『Medical Data Lab』は、医療データに関わる様々なプレイヤーが集まり、共に考え、挑み、変革を促すことを目的としたオープンラボです。次世代の研究、開発、実装を共に創出するプラットフォームとして成長しています。
今後の連載記事にもご期待ください。