遠田潤子の『ミナミの春』、山田風太郎賞を受賞！大阪の奇跡を描く家族小説

遠田潤子の『ミナミの春』が山田風太郎賞を受賞！

2025年3月、株式会社文藝春秋から刊行された小説『ミナミの春』が栄えある第16回山田風太郎賞を受賞しました。この作品は、大阪を舞台に、姉妹芸人「カサブランカ」と同時代を生きる人々の人生の奇跡を描いた傑作の家族小説です。著者の遠田潤子さんは、受賞したことに驚きと喜びを隠せない様子で、万博への愛情があったことも受賞の喜びをさらに引き立てています。

山田風太郎賞とは？

山田風太郎賞は、戦後日本を代表する小説家である山田風太郎の独創的な作品に由来し、新進作家の作品を顕彰するために設けられたものです。様々なジャンルにわたる作品が対象となり、最も優れた作品に贈られるこの賞は、時代を超えた文学の価値を評価するものとして業界内でも高く評価されています。選考委員には、著名な作家が揃い、厳正な審査が行われます。

『ミナミの春』の物語

この小説は、売れない芸人を続ける娘や夫の隠し子疑惑を抱える妻、父と血がつながらない高校生など、多様なキャラクターが描かれた群像劇です。物語は、家族の絆や人との出会い、そして人生における痛みや喜びといったテーマを中心に展開します。

主なストーリー

- 松虫通のファミリア：亡くなった妻の夢を叶えるため、母親の教育を受けて芸人になった娘、ハルミ。彼女を失い、さらに5歳の孫の存在を知ることで、吾郎の心に変化が訪れます。
- ミナミの春、万国の春：ヒデヨシがかつての芸人仲間と再会し、ラストチャンスを逃すまいとする姿が描かれます。2025年の万博に向け、彼が取った行動がどのように物語へ繋がるのかが鍵です。

全六編からなるこの作品は、ただのフィクションではなく、その背景には読者が共感できる真実のような感情が詰まっています。

遠田潤子さんのプロフィール

遠田潤子さんは、1966年に大阪府に生まれ、関西大学文学部を卒業後、2009年にデビューを果たしました。『月桃夜』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞後も、『雪の鉄樹』や『オブリヴィオン』がそれぞれランキング1位を獲得するなど、多くの読者に愛される作家として確固たる地位を築いています。最近では、直木賞候補にも選出されるなど、その文才はさらに評価を広げています。