自動運転トラックによる酒類・飲料の幹線輸送実証
2025年6月からサッポロホールディングスのグループ企業であるサッポログループ物流株式会社は、株式会社T2との連携によって自動運転トラックを利用した酒類・飲料の幹線輸送に関する実証試験を行うことを発表しました。この実証にはアサヒロジ株式会社、キリングループロジスティクス株式会社、サントリーロジスティクス株式会社の3社も参加し、計4社が協力する形で進めていきます。
背景と目的
現在、日本は「2024年問題」と呼ばれるトラックドライバーの不足に直面しています。2030年には、輸送能力の34.1%が不足するとも指摘されており、特に酒類・飲料業界はその傾向が顕著です。季節ごとの需要の高まりによってドライバーの確保が難しくなることが予想されており、消費者への供給遅延のリスクが増しています。
こうした課題に対処し、持続可能な輸送体制の構築を目指すために、T2は2027年からレベル4自動運転トラックを用いた幹線輸送の導入を計画しています。もしレベル4自動運転トラックが実現すれば、従来のドライバーの拘束時間に左右されることなく、運行を行うことが可能です。これによって、現在の1日1運行の限界を突破し、運行能力を倍増することが期待されます。
実証の詳細
この実証は2025年6月から11月の間に行われ、関東と関西を結ぶ高速道路で実施されます。実証内容は以下の通りです:
1.
日程: 計16回、8往復を予定
2.
場所: 関東・関西間の特定高速道路
3.
輸送ルート: 例えば、往路はキリンビール横浜工場からキリンビール神戸工場へ、復路はアサヒビール吹田工場からアサヒビール茨城工場となります。
4.
積載物の例: アサヒスーパードライ、キリン一番搾り生ビール、サッポロ生ビール黒ラベル、サントリークラフトボス ラテなど、各社の製品が運ばれます。
5.
役割分担: T2はマネジメントおよびトラックの提供を行い、他の3社は実証貨物や積載物を提供します。
6.
検証内容: 自動運転トラックによる幹線輸送の走行ルートや物流品質の検証が行われます。
未来に向けた取り組み
この自動運転トラックの実証試験は、業界全体に新たな視点を提供するものでもあります。自動運転技術の導入によって、運送業の生産性向上や効率化、さらには環境負荷の低減に繋がることが期待されています。今回の取り組みを通じて、2024年問題を乗り越えるための新しい道筋が見え始めることでしょう。
この革新的な施策は、ただの実証に留まらず、未来の運送システムの確立に繋がる重要なステップだと言えます。業界全体が協力し合い、持続可能な物流体制を目指す中で、果たしてどのような成果が出るのか、今から目が離せません。