プレコンセプションケアで少子化対策!不妊治療専門「トーチクリニック」院長が提言
日本の少子化問題が深刻化する中、不妊治療専門「トーチクリニック」の市山卓彦院長が、プレコンセプションケア(プレコン)の重要性を訴え、少子化対策への貢献を発表しました。2023年7月28日に開催された第41回日本受精着床学会にて、スポンサードシンポジウム「今知りたい、プレコンセプションケアの意義-生殖医療の質を上げることはできるのか」に登壇し、自身の経験や研究に基づいた提言を行いました。
市山院長は、日本の妊孕性(妊娠する力や能力)に関するリテラシーの低さを指摘し、プレコンケアの認知度向上と普及が喫緊の課題であると訴えています。プレコンケアとは、妊娠を計画しているかどうかに関わらず、妊娠や出産に関する知識を早期に身につけ、健康意識を高めることです。国内でも推進されていますが、認知度は依然として低いのが現状です。
プレコンケアの重要性と認知度向上への取り組み
市山院長は、プレコンケアの重要性を以下の3点にまとめました。
1.
妊孕性理解の促進: プレコンケアを通じて、自身のパートナーの妊孕性について理解を深めることで、適切な時期に適切な選択ができるようになります。
2.
治療年齢の若年化: 早期に妊孕性について理解することで、治療を必要とする場合、より早い段階で受診できるようになり、治療の成功率向上に繋がります。
3.
生殖医療の質向上: プレコンケアを通して、患者自身の健康意識が高まり、生殖医療の質向上に貢献します。
プレコンケアの認知度向上のため、トーチクリニックでは、様々な取り組みを行っています。具体的には、
メディア戦略: 対象の年齢や状況別に、適切なメディアを活用した情報発信を行っています。
広告戦略: リスティング広告などを活用し、プレコンケアに関心のある層へアプローチしています。
コンテンツ拡充: 妊娠や出産に関する様々な情報を提供することで、プレコンケアの重要性を広く知らしめています。
これらの取り組みの結果、トーチクリニックのプレコンセプションケア外来を受診した方は、開院から1年で女性317名、男性341名に達しました。特に女性では、検索からの流入が大半を占めているとのことです。
ナッジを活用した行動変容促進
市山院長は、プレコンケア外来において、ナッジ(Nudge)と呼ばれる行動経済学の手法を活用することで、患者の行動変容を促す重要性を強調しています。ナッジとは、個人の意思決定に影響を与えるように、選択肢を提示したり、情報を提供したりすることです。
トーチクリニックでは、プレコンケア外来で、以下の様なナッジを用いています。
適切な妊孕性教育: 受診者の理解度に合わせて、妊娠や出産に関する知識を丁寧に説明します。
具体的な選択肢の提示: 検査結果に基づき、適切な選択肢(ネクストアクション)を提示することで、患者自身の意思決定をサポートします。
パートナーへの受診勧奨: パートナーにも受診を勧めることで、カップル揃って妊孕性について理解を深め、家族計画を立てることを促します。
これらのナッジによって、患者は自身の状況や選択肢を理解し、より積極的な行動をとるようになることが期待されます。
プレコンケアが少子化対策に貢献できる可能性
市山院長は、プレコンケアが少子化対策に貢献できる可能性について、次のように述べています。
早期の妊孕性理解: プレコンケアを通じて、若い世代が自身の妊孕性について理解することで、将来の家族計画を立てるための準備ができます。
不妊治療の早期受診: 早期に妊孕性について理解することで、不妊治療が必要な場合は、より早い段階で受診できるようになり、治療の成功率を高めることができます。
*
適切な治療選択: プレコンケアによって、自身の状況や選択肢を理解した上で、最適な治療を選択できるようになります。
プレコンケアは、少子化対策だけでなく、個人の健康意識を高め、生殖医療の質を向上させるためにも重要な役割を果たすと考えられています。
市山卓彦院長について
市山卓彦院長は、順天堂大学卒業後、国内有数の不妊治療施設で経験を積み、2022年5月にtorch clinicを開院しました。生殖医療専門医として、年間7000周期の高度生殖医療を行っており、研究活動においても高い評価を受けています。
まとめ
市山院長は、プレコンケアの重要性と、ナッジを活用した行動変容促進について、自身の経験と研究に基づいて提言しました。プレコンケアは、少子化対策だけでなく、個人の健康意識を高め、生殖医療の質を向上させるためにも重要な役割を果たすと考えられています。
トーチクリニックは、プレコンケアを通して、患者一人ひとりが自身の妊孕性について理解を深め、将来の家族計画を立てられるようサポートしていくことを目指しています。