賃金と物価の連動関係:日本銀行が分析した最近の動向

賃金と物価の連動関係:日本銀行が分析した最近の動向



日本銀行は、近年、賃金上昇が物価上昇と連動し、好循環が強まっていると分析しています。同銀行が発表したリサーチラボでは、賃金と物価の基調的な動きを分析し、両者の連関について定量的に検証しました。

# 賃金と物価の連動関係が回復



分析によると、1998年頃までは賃金と物価の連動関係が強く、上昇率が互いに影響し合っていました。しかし、1998年以降は、両者の連動関係が失われ、それぞれ独立した動きを見せるようになりました。

しかし、コロナ禍以降、サービス価格と非製造業の賃金を中心に、賃金と物価の連動関係が再び強まっていることが明らかになりました。特に、サービス価格のトレンドは、賃金上昇率のトレンドと強い相関関係を示しているとのことです。

# 賃金と物価の連動関係が強まっている背景



日本銀行は、賃金と物価の連動関係が強まっている背景として、いくつかの要因を挙げています。

賃金交渉時の物価参照の増加:企業が賃金交渉において、物価動向を重視する傾向が高まっていることが挙げられます。
労働需給の引き締め:コロナ禍後の経済回復に伴い、労働需給が引き締まり、企業が人材獲得競争を繰り広げる状況となっていることが、賃金上昇の原動力となっています。
海外ショックの影響:コロナ禍以降、海外の物価上昇やサプライチェーンの混乱などが、日本の物価上昇に影響を与え、賃金にも波及していると考えられます。
価格マークアップの安定化:近年、企業が価格設定において、賃金上昇分を価格に転嫁しやすい状況となっていることが、賃金と物価の連動関係を強めている可能性があります。

# 今後の課題



日本銀行は、今後も賃金と物価の連動関係に関する研究を継続していく方針です。賃金と物価の連動関係は、経済活動や金融政策の運営に大きな影響を与えるため、その動向を注視していく必要がありそうです。

トピックス(経済)

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