次世代ビル管理を実現する「Autonomous Building」
2025年8月、東急不動産株式会社と株式会社東急コミュニティー、ソフトバンク株式会社、SynapSpark株式会社の4社は、次世代ビル管理「Autonomous Building」の実現に向けた基本協定を締結しました。この協定は、AI(人工知能)とデータ連携基盤、通称「ビルOS」を活用するもので、ビルの管理業務を自律的に進化させることを目指しています。
実証実験の開始
この協定のもと、実施される実証実験では、東京ポートシティ竹芝でデータ活用を通じた清掃や警備、エネルギーマネジメントの最適化が進められます。具体的には、IoTセンサーや防犯カメラを用いて、ゴミ箱に捨てられたゴミの量やトイレの利用状況、訪問者の人数などのデータを収集します。これらのデータはAIによって分析され、東急コミュニティーが行うビル管理業務を効率化する手助けとなります。
例えば、東京ポートシティ竹芝での実証により、清掃業務の効率が向上し、1日あたり47分の業務時間削減に成功しました。この取り組みは、オフィスワーカーや訪問者、ビル管理者にとって、より快適で便利な空間を提供することを目的としています。
渋谷ソラスタでの新たな挑戦
2026年には、東急不動産の本社である渋谷ソラスタにおいても、ビル管理業務の最適化に向けた実証が開始されます。ここでは、異なる環境のビルに対して、どの程度の効果が得られるのかを検証。清掃員のシフト調整や清掃業務の効率化が進められます。また、今後は生体認証ソリューションなどの導入を通じて、スマートビル化が一層加速すると期待されています。
社会的課題への対応
東京都港区や世田谷区に本社を置く各企業は、「Autonomous Building」を通じて、人手不足や運用コストの上昇、更には脱炭素社会への対応といった社会課題の解決にも取り組んでいます。4社の担当領域は分かれており、東急不動産が実証フィールドと施設データを提供する一方、東急コミュニティーは現場の管理ノウハウを伝授しています。ソフトバンクはビルOSを提供し、SynapSparkが設計を手掛ける体制です。
今後の展開
2027年以降には、両ビルで得られた成果を踏まえて、東急不動産の他のビルにおいてもそれらの取り組みが広がる予定です。データの取得精度やロボット、AIの利用範囲を拡大し、さらに多様なサービスとしての展開が期待されます。また、各ビルを連携させつつ、管理業務の最適化を進めていく考えです。
これらの取り組みを通じて、快適なビル空間の実現とともに、地域における持続可能な発展が図られることでしょう。未来のビル管理がどのように変わっていくのか、今後の動向に注目です。