医師の働き方改革を支えるAI技術の共同研究開始
医療業界の働き方改革は急務です。Qsol株式会社と熊本大学は、その解決策として生成AIの活用を目指した共同研究を2023年に始めました。この研究は2024年4月から施行される医師の働き方改革に向けて、医療現場の効率化を図り、医師の負担軽減を実現することを目的としています。
共同研究の背景と目的
日本の医療現場は、医師に業務が集中し長時間労働が常態化しています。この問題に加え、地域によっては医師の偏在や、専門分野による担い手の減少が大きな課題となっています。その中で、医療現場の負担軽減と質の向上を図るため、Qsolと熊本大学が手を携えて生成AIの活用に取り組みます。
具体的には、生成AIの「RAG(検索拡張生成)」や「マルチエージェント」技術を使用し、診療計画の立案や医療文書の作成、指示内容の入力といった業務を補助することになります。これにより、医療現場の業務の効率化をここまでに検証し、2025年3月までに実現を目指します。
生成AIの具体的な活用方法
生成AIのRAG技術は、専門的な情報を活用し、業務に関する専門的な質問に対して精度の高い回答を提供します。また、マルチエージェント技術では、複数の自律エージェントが連携し、医療現場の複雑な問題を解決する手助けを行います。これにより医師は、これまで以上に効果的に業務を遂行できるようになります。
倫理的な配慮について
この共同研究では、電子カルテの情報は生成AIの学習データには使用しませんが、医療情報を入力する際には、研究に必要な倫理審査委員会の承認を得て、安全管理に関するガイドラインを遵守する形で進行します。
熊本大学とQsolの企業的背景
熊本大学は、教育・研究の両面で国際的に高く評価されている総合大学です。医療分野においても、先進的な研究と教育を行い、地域社会との連携を深めています。一方、Qsol株式会社は1987年に創業し、九電グループの一員として電力の安定供給を目的としたシステム開発や運用を行っています。これまで培ってきた高度な技術とノウハウを活用し、多くの課題解決に取り組んでいます。
今回の共同研究は、医療分野における働き方改革を推進するための大きな一歩となることでしょう。私たちは今後の進展に注目し、医師と患者にとってより良い医療を実現するための努力を応援したいと思います。