闇バイト問題と新たな取り組み
最近、東京都と株式会社Classroom Adventureが協力し、急増する闇バイト問題に立ち向かうプロジェクトを始めました。この取り組みの一環として、2025年3月に都立足立新田高校で、リアルなSNS上での闇バイト体験ができる教育ゲーム『レイの失踪』が導入されました。これは、都立高校で初めての試みであり、約450名の生徒が参加しました。
増加する闇バイトの実態
一方で、昨年の特殊詐欺被害額は過去最高を更新し、闇バイトの影響はますます深刻化しています。警察庁のデータによれば、逮捕された約8割の人が若者で、SNSを通じて犯罪に加わるケースが増加しています。その中には中学生も含まれており、世代を問わず若者が危険な状況に置かれています。
闇バイトが特に危険なのは、加害者自らも騙されることが多い点です。ディップ株式会社が実施した調査によると、高校生の23%しかネット上の危険な求人判断ができないという結果が出ています。
ゲーム『レイの失踪』の内容
『レイの失踪』では、失踪した友人「レイ」のSNSを探索しながら、彼がどのように闇バイトに巻き込まれ、個人情報を渡してしまうのかを追体験します。このプログラムは「狙われない」「騙されない」「ハマらない」という3つのステップを通じて、闇バイトから身を守る方法を学ぶことができます。
1. 狙われない
ターゲットにされる人の特徴を知ることで、自分のSNSの活用方法を見直し、危険から身を守る方法を学びます。
2. 騙されない
求人情報がどのように犯罪と関連し、どの場所で危険が潜んでいるのかを理解します。診断結果から、ファクトチェックのスキルを身につけます。
3. ハマらない
一度闇バイトに手を染めると抜け出すことが難しい点を意識し、具体的な相談窓口についても学びます。
学びの成果と今後の展開
実際に行われたプログラムでは、体育館に集まった約450名の生徒が体験後、95%が「闇バイトへの知識が深まった」と回答しました。このゲームは没入感が高く、生徒たちが自分のこととして捉えることができるため、教育効果が期待されています。
『レイの失踪』はこれまでに全国約50の教育機関で導入されており、特に東京都との連携は画期的な取り組みとして注目されています。更なる官民連携が進むことで、闇バイト問題への意識向上が期待されています。
Classroom Adventureの成果
Classroom Adventureは、2024年の『TOKYO STARTUP GATEWAY』で最優秀賞を受賞し、東京都知事にも対面して『レイの失踪』を紹介しました。これは、教育現場における闇バイト対策の一環として新しいモデルケースを生む可能性を秘めています。
今後も多くの自治体との官民連携を強化し、より多くの子どもたちに安全な学びの環境を提供していくことを目指しています。各教育機関においても、このモデルを参考にした導入を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
闇バイト問題は、今や多くの若者に影響を及ぼしていますが、様々な施策を通じて教育効果を高めることが求められています。『レイの失踪』を通じて、子どもたちが主体的に危険を回避する知識を身につけていくことが期待されています。