革新的な神社経営の道を歩む
2025年3月14日に出版される『宮司の経営』は、青森県にある廣田神社の第17代宮司、田川伊吹氏が手がけた一冊です。彼は23歳での宮司就任から、神社を一から立て直し、驚くべき成長を遂げた経営者です。南部藩に由来するその神社は、年間収入を6倍、参拝者数をなんと36倍に増加させる快挙を成し遂げました。
経営者としての苦境と革新
田川氏は、父親の急逝により宮司の職を引き継ぐことになった際、経営に関する知識や経験がほとんど皆無の状態でした。最初は赤字経営に近く、精神的にも厳しい状況で、職員全員が辞職するという試練も味わいます。それでも、彼は並々ならぬ情熱をもって経営に取り組みます。神道に対する深い理解を基に、組織運営や経営戦略の見直しを進め、様々な施策を実施しました。特に、神社の充実した整備と情報発信に力を入れ、地域との連携を強化しました。
このプロセスで、田川氏は神社経営における独自の哲学を築き上げ、地方都市での成功を収めるに至りました。具体的な施策やマインドセット、人を大切にする経営スタイルが、彼の著書で詳しく語られています。
神道から学ぶリーダーシップ
本書では、神道的な見地からビジネスに役立つ教えも登場します。神様を敬うことで人は幸運を得るという信念のもと、謙虚さと感謝を忘れず、チームでの目標共有を重視します。メンバー各自の特性を念頭に置きつつ、適切な役割を用意することで、団結力を高め、困難を共に乗り越えるアプローチが解説されています。
特に印象的なのは、迷った時におみくじを引いて神様の意志を参考にするという決断方法です。これにより、心の負担を軽減し、前向きな姿勢で仕事に臨む助けとなります。
地域との共生を目指す取り組み
田川氏は、地域の文化を活かしたイベントを積極的に開催し、神社の魅力を広めています。「金魚ねぶた献灯祭」や「青い森の御仮屋茶会」は、その一例です。また、コロナ禍においてもSNSを駆使したライブ配信を行い、多くのファンを獲得した実績もあります。時代に合わせた新しいアプローチとして、海葬や伝統行事の復活を図るなど、多岐にわたる活動を行っています。
SDGsの達成に向けた神社の役割についても触れ、自然環境の保護や地域社会の発展に貢献する姿勢がよく表れています。
読者に贈るメッセージ
この本は、神社経営や伝統文化に興味を持つすべての方におすすめです。特に、中小企業の経営者や組織運営に悩んでいる人にとって、新しい視点やヒントを得るための非常に役立つ内容です。田川氏が導く経営哲学を通じて、私たちも存分に学びを得て、各自の人生や仕事に活かせるでしょう。彼の熱意と実践からきっと刺激を受けるはずです。
書籍情報
- - 著者名: 田川伊吹
- - 定価: 1,958円(本体1,780円+税)
- - ISBN: 978-4-295-41076-8
- - 発行: 株式会社クロスメディア・パブリッシング
ぜひ、新しい視点を手に入れるため、手に取ってみてはいかがでしょうか。