日立、新たなAI処理技術「領域選択エンコード技術」を発表
日立は、AIが取り扱う膨大な画像データの処理を迅速化する新技術「領域選択エンコード技術」を発表しました。この技術は、製造業や保守業界をはじめとする様々な現場で生成される画像データを効率的に扱うために開発されたものです。特に重要なのは、AIモデルの一つであるVision Transformer (ViT)がもたらす革新です。
背景と課題
製造業におけるカメラ撮影や設備巡回において、膨大な画像や動画データが活用されています。しかし、これに伴いAIの処理時間が増加し、計算資源も増大するという大きな課題が浮上しました。特に、ViTは画像全体を細かく分割し、多数のトークンを処理する必要があるため、効率的な運用が難しくなっています。このため、必要な特徴量を維持しつつ処理量を抑えることが求められています。
技術の特長
日立は、AIによる画像データ処理の速度を向上させるため、特定の画像領域に焦点を当て、その領域に基づくトークンのみを処理対象とする革新的な技術を開発しました。具体的には以下の二点が挙げられます。
1.
必要な領域の選択と処理
この技術では、AIにおいて重要な領域を選定し、その領域のトークンのみを用いて特徴量を生成します。これにより、従来のように画像全体を一律に処理する必要がなくなり、ViTによる処理が飛躍的に迅速化されます。
2.
固定領域の活用
画像には多くの事例で注目度が高い特定の固定領域が存在するとの分析結果を受け、この領域に関連するトークンも処理対象として残す方式を採用しました。この結果、プロセスを簡素化し、精度低下を抑えつつデータ量を削減することが可能となりました。
効果の検証
本技術の実際の効果を確認するため、画像内の文字を検索対象とした評価を行いました。その結果、特徴量を生成する際の平均処理時間が従来の手法と比較して半減されたことが確認されました。これは、AIを効率良く活用できることを示しており、業務のスピードアップに寄与する内容となっています。
今後の展望
日立はこれからもお客様との協力のもと、実際のユースケースを通じてこの技術の有用性を検証し、さらに広範な画像や動画データ処理を支えるAI基盤の構築に向けて取り組んでいきます。また、Lumada 3.0の強化を図るため、この技術を応用したデータインフラの高度化にも貢献していく考えです。
この新技術が、AIの利用促進と共に業務の効率化に大きく寄与することが期待されます。日立の最新の技術情報については、日立の研究開発ウェブサイトをご覧ください。