高槻市、特別対策本部設立で農業被害を防ぐ
近年、高槻市においてシカやイノシシ、アライグマなどの有害鳥獣による農作物への被害が大変深刻化しています。この状況を受けて、市では令和7年7月4日(金曜日)に「有害鳥獣等特別対策本部」が発足されました。本部体制を強化することで、農業者の安心感を高め、猟友会などさまざまな関係機関との連携を深める取り組みが期待されています。
市のシカの推定生息密度は、令和5年度には過去最高の1平方キロメートルあたり平均20.4頭に達しました。この数値は、近隣の自治体と比較しても高く、シカによる農作物への影響も著しいものとなっています。また、令和6年度にはシカ146頭、アライグマ110頭の捕獲が記録されるなど、これらの動物が人間の生活圏に入ってくるケースが目立つようになっています。
これまで高槻市では、シカやイノシシなどによる農作物被害に対して、市や猟友会、JA、実行組合が連携し、有害鳥獣対策協議会を設置して対策を進めてきました。しかし、被害がさらに深刻化していることを考慮し、この協議会の活動を後押しする形で、特別対策本部が設立されることとなりました。このような取り組みは、都市部に位置する自治体としては全国的にも珍しい試みであり、農業の現状を踏まえて、より強力な対策が求められています。
対策本部の発足にあたっては、高槻市内の様々な関係者が集まり、発足式を原公民館で開催しました。ここでは市の被害状況や今後の取り組みについての報告があり、また、地元農業者の意識を高めるため、猟友会と共に猟犬の紹介や捕獲のための大型箱ワナの仕掛け方、電気柵の設置方法に関する実演も行われました。
濱田市長は、対策本部の設立に際し、「農業者の方々が安心してその活動を続けられるよう、また有害鳥獣問題に取り組む関係機関の連携を深めることで、活動をさらに促進していく所存です」との意気込みを語っていました。特別対策本部の発足を契機として、今後の対策協議会では捕獲活動や防護柵の設置への補助を強化する方針です。
高槻市が進める有害鳥獣対策は、地域の農業を守るためだけでなく、地域全体の安全・安心を確保するためにも重要な取り組みです。農業者、その家族、ひいては地域住民の生活を支えるためには、さらなる連携と具体的な行動が求められています。これからも高槻市の取り組みから目が離せません。