視界に広がる『終活』の実態
近年、シニア層の間で注目を集めている『終活』。こちらの言葉は、人生の最期を見据えての活動を指し、遺品の整理や財産の整理など様々な側面があります。最近の調査によれば、シニアの約89%がこの言葉を知っていると答えており、言葉の認知度は非常に高いことがわかります。しかし、実際に終活を始めている人は約2割にとどまり、その間には大きな温度差があります。これは何を示しているのでしょうか?
認知度と行動意欲のギャップ
調査によると、シニア層のほとんどが『終活』という言葉を認識しているものの、実際に行動に移している人は少数派であることが判明しました。52.7%の人が「予定はないが時期がきたら始めたい」と回答しており、終活の必要性を感じている方も多いようです。しかし、行動するための具体的な動機やタイミングが不明確なため、実行に移せていないという現実があります。
このギャップを埋めるためには、行政や地域のサポートが必要です。例えば、地域イベントやライフイベントを通じてシニア世代に情報提供を行うことが、終活のスタートを促進するカギになるでしょう。
重点項目は遺品整理や財産整理
多くのシニアが終活において重視している項目は何でしょうか?
「遺品整理」に関する回答が66%と最も多く続いて「財産(金融口座・金融商品)の整理」が44%と続きます。これは、自分の死後、遺族に手間をかけさせないための意識が強いことを表しています。
シニア層は、長期的な視点よりも、日常の生活に密着した整理について意識していることが伺えます。実際、物理的な片付けや書類整理は取り組みやすいため、終活を始めるきっかけとして役立つでしょう。
課題の根底にある心理的ハードル
調査では「何から手をつければよいかわからない」が最も多い難しさとして挙げられました。その他にも「考えるのが面倒」「費用が不安」「相談できる人がいない」といった心理的・経済的なハードルが挙げられ、終活に対する不安感が行動を阻んでいることがうかがえます。
この現状を打破するために、地域のサポートや情報提供が不可欠です。シニア世代が気軽に相談できる環境を整えることが、終活をスムーズに進めるための第一歩と考えられます。
調査の意義と今後の視点
コスモラボによるこの調査は、シニア層の市場ニーズに応じたサービスや商品開発に役立つ貴重なデータです。終活に関するサービスを展開している企業や団体は、この調査結果を参考にし、シニアが求めるニーズに応える商品やサービスの提供を検討する必要があります。
結局のところ、シニア世代が終活をスムーズに進めるためには、情報提供とともに寄り添う姿勢が必要となるでしょう。終活は人生の一部であり、自分自身や大切な人への最後の贈り物とも言えます。シニアの皆さんがより良い形で終活を進められるよう、私たちも情報を発信し続けることが重要です。