経済の持続可能性を支える"フェムノミクス"
国際女性デーに、一般社団法人ラブテリが提唱した新しい経済概念「フェムノミクス」が注目を浴びています。この概念は、女性の健康を「個人のQOL」に留まらず、経済や社会の持続可能性を支える人的資本への投資として再定義するものです。その背景には、日本社会が抱える少子化や生産性の低迷、医療・介護費の増大といった問題があるとされています。
女性の健康と社会課題の関連
厚生労働省の調査によれば、日本の20〜30代女性の20.2%がBMI18.5未満の「やせ」に該当しており、その割合は先進国の中でも非常に高い数値です。また、30〜50代の働く女性はOECD加盟国の中でも睡眠時間が最も短く、慢性的な睡眠不足が健康に悪影響を及ぼしていることが示されています。
これらの健康問題は、妊孕力の低下や不妊治療の増加、出生率の低下、労働生産性の低下、そして医療・介護費の増加という形で、日本社会全体に波及しています。実際に不妊治療の件数は増加しており、それに伴って医療費負担も拡大しています。これは、個人の健康がどれほど社会経済に影響を与えうるかの実例です。
健康と経済的影響の関連性
フェムノミクスの根幹には、女性の健康状態が経済、特に労働生産性にどのように関連しているかに注目した視点があります。日本の女性の約15〜25%が「鉄欠乏性貧血」であり、20〜40代女性の65%は鉄欠乏状態にあるとされています。これらの健康問題は、注意力や集中力に影響を与え、労働生産性やメンタルヘルスにマイナスの影響を及ぼす可能性があります。
そして、無月経や低栄養状態は将来的な不妊や骨粗しょう症リスクを高める要因となります。つまり、女性の健康問題はその個人自体だけでなく、マクロ経済にまで影響を与える深刻な構造課題なのです。これを早期の段階で改善することができれば、社会的な投資として非常に高いリターンを期待できるでしょう。
フェムノミクスの理念
フェムノミクスとは、女性の健康を人的資本の投資と捉え、労働生産性や社会保障、次世代の健康、さらにはジェンダーギャップといった視点から新たな社会を設計する経済概念です。現在、この理念を実現するために、専門の研究チームと連携し、女性の健康と生産性や健康投資が経済的にどのように相互作用するかを探求しています。
個人の健康問題は、自己管理やライフスタイルに関する問題を超え、社会的要因に深く結びついていることが多いです。そのため、女性一人ひとりが自分の望むライフコースを選べるよう、社会的基盤への投資が求められています。
実行モデル:女性健康推進都市構想
フェムノミクスを実践するモデルとして「女性健康推進都市構想」があります。これは、個人の行動変容、学校や企業級の健康度スコア化、自治体協力による健康推進を三層構造で推進しようとする試みです。ラブテリは、すでに12都道府県でこのような健康イベントを主催し、多くのデータを解析しています。
今後、首都圏にある特定の自治体でこの女性健康推進モデルの先行プロジェクトがスタート予定で、地域全体で女性の健康を支える新たな取り組みが始まります。この結果が、全国に広がり、女性の健康問題が社会インフラとして確立されることが期待されています。
結論
女性の健康状態は単なる個人の問題ではなく、社会全体の持続可能性に影響を与える重要な要素です。フェムノミクスは、女性の健康を経済の中心に据えるという新たな視点とアプローチを提供します。実際、英国の「Women’s Health Strategy」など、他国では進んでいる取り組みもありますが、日本においても同様の視点が求められています。
私たちは、女性の健康を社会的な観点から捉えることで、少子化や労働市場の様々な問題を解決し、持続可能な未来を築けるのではないでしょうか。