北九州市の生花店で子どもたちがフローリスト体験！

2025年8月1日、北九州市黒崎の熊手商店街にある安田生花店は、今日、普段とは異なる賑わいを見せています。市内の約10カ所で行われた職業体験の一環として、ここでは子どもたちが一日フローリストとしての仕事にチャレンジする日です。創業80年を誇る老舗の花屋で、彼らはまさに生花業界の厳しさと喜びを体感します。

「仕事場」の重みを理解する

「お花屋さん」という職業は、多くの人々にとって華やかに映る存在です。しかし、実際の業務は見えない裏方の仕事が多く含まれています。市場から届く新鮮な花を一本一本確認する選別、鋭いハサミでの茎切りや水揚げの作業、さらには接客に備えた徹底した掃除など、多岐にわたります。子どもたちは、普段目にしない仕事の側面を真剣に学び、黙々と作業に取り組み続けました。

その姿勢は、彼らにとって新たな発見の連続であり、「しっかりやらなきゃいけないんだ」という意識を芽生えさせました。この貴重な体験を通じて、働くことの大切さを体感していたのです。

感性を育む素敵な瞬間

体験が進むにつれ、子どもたちの純粋な感性が花屋の空間を明るく彩ります。「このモコモコしたお花、かわいい！」と声を上げる女の子が指さしたのは、鮮やかな鶏頭（ケイトウ）草。スタッフがその名前を教えると、「毛糸（ケイト）はどこにあるの？」という可愛らしい勘違いに、周囲も笑顔に包まれました。この小さな事故は、緊張を和らげ、フローリストとしての真剣さを一層引き立てました。

クライマックス、特別なブーケ作り

いよいよクライマックスを迎える子どもたち。彼らは、自分の手で世界に一つだけのブーケを作ることになります。「このブーケ、誰にあげるの？」とスタッフが尋ねると、一人の女の子は頬を赤らめながら答えました。「パパに渡すの。今まで、誰かのために花を選んだことがなかったから…ドキドキする」。

この瞬間、花束はただの花の束ではなく、愛情が込められた特別な贈り物に変わりました。子どもたちが心を込めて作ったブーケは、大切な人へ向けた温かい気持ちを運ぶ一品となったのです。

受け入れ企業からの声

安田生花店の店主もまた、子どもたちの姿に感動を禁じ得ませんでした。「一日仕事では飽きると思っていたが、彼らは信じられない集中力で作業に臨みました。『このお花は、ドライフラワーに向いていますか？』など、プレゼント先を考える子たちの優しさには驚かされ、心に響きました」。

保護者の感想

体験を見守った保護者たちの表情にも感動が溢れていました。「この子は本当にお花が好きなんだと実感しました。お花屋さんという華やかなイメージだけでなく、裏に隠れた努力も体験できたことは、我が子にとって一生の財産になると思います」。

こどもまんなか社会への一歩

この取り組みは、子どもたちを社会の中心に据え、彼らの存在を尊重するという北九州市が掲げる「こどもまんなか」社会の縮図です。彼らは働くことの厳しさや、人の笑顔のために頑張ることの重要性を体得しました。そして大人たちは、子どもたちから学ぶものも多く、情熱を再認識する機会となったのです。この花屋での一日が、関わったすべての人々の心に、「こどもまんなか」への小さな種を蒔くことになりました。