日本の職場でのハラスメント相談の実態
近年、ハラスメントに関する意識の高まりが日本社会で見受けられますが、実際の労働環境における状況はどうなっているのでしょうか。この度、一部の機関では全国500名を対象にした「ハラスメント相談に関する意識調査」結果が発表されました。この調査では、制度の整備が進む一方で、相談しづらいと感じる人々が多いことが浮き彫りとなりました。
調査結果の概観
調査は、一般社団法人クレア人財育英協会によって実施され、調査対象者500名の回答を元に以下のような結果が得られました。
Q1: あなたの勤務先には「ハラスメント相談窓口」がありますか?
- - ある:39.8%
- - ない:44.2%
- - わからない:16.0%
相談窓口の存在を認識している人は4割に満たず、多くの職場ではこの制度が十分に浸透していないことが示されています。
Q2: あなたの職場は「実際に相談できる雰囲気がある」と感じますか?
- - そう思う:12.4%
- - どちらかといえばそう思う:31.8%
- - あまり思わない:35.6%
- - 全く思わない:20.2%
「相談しづらい」と感じる人が55.8%に上り、相談ができる環境が整っているとは言い難い状況です。
Q3: ハラスメントを見聞きしたとき、あなたがまず相談するのは?
- - 上司:22.2%
- - 同僚・友人:28.2%
- - 社内窓口:11.2%
- - 社外窓口(行政・専門機関など):10.6%
- - 誰にも相談しない:26.8%
- - その他:0.4%
実に26.8%の人が「誰にも相談しない」と回答し、これは潜在的なハラスメントが放置されるリスクを示しています。
調査の背景
人的資本開示の義務化が進む中、ハラスメント対策は企業経営において重要な課題の一つとなっています。しかし多くの企業では、相談窓口の設置そのものが目的化してしまい、本来の目的である「相談が実際に行われる環境作り」が不足していると指摘されています。制度が整備されても、社員が実際に相談を躊躇する環境では、ハラスメントの根本的な解決には至らないのです。これは企業にとっても大きなリスクであり、放置されることで問題が蓄積してしまいます。
本調査では、制度の整備と従業員の心理的サポートとの乖離を明らかにすることを目的としており、職場環境改善に向けた重要な知見を提供しています。
クレア人財育英協会の役割
一般社団法人クレア人財育英協会は、2023年に設立された団体で、雇用・労務・ハラスメント防止に関する様々なしくみや研修を提供しています。彼らは全国650名以上に「雇用クリーンプランナー」の資格を取得させ、企業や自治体での教育活動に注力しています。こうした取り組みを通じて、ハラスメントを防止し、より安全な職場環境を作る手助けをしています。
今後も、ハラスメント対策に関する意識向上と実効性ある制度作りが求められ続けることでしょう。