中小企業における新規事業開発の現状と課題
従業員100名以下の中小企業における新規事業開発の実態について、合同会社triが実施した調査の結果が明らかになった。この調査では、設立から5年以上経過した中小企業の経営層を対象に、新規事業に関する認識や取り組みを探ることが目的とされている。
調査の背景
日本のベンチャー企業は、創業から5年後の生存率がわずか15%とされ、10年後にはさらに低下し、20年後には0.3%という厳しい実情がある。こうした中小企業こそが日本経済の99.7%を占め、成長が求められる。最近のVUCA(不安定・不確実・複雑・曖昧)時代の影響により、企業は既存のビジネスモデルが将来にわたって持続可能とは限らない状況にあるため、新商品の開発や新たな事業の創出が強く求められている。特に資源が限られる中小企業にとって、新規事業開発は大きな挑戦である。
調査結果の概要
調査結果によると、従業員100名以下の中小企業の約20%が新規事業開発に取り組んでいることがわかった。この数字は、新規事業を行っていない企業が76.6%を占めることからも、多くの中小企業が新規事業に関する取り組みが進んでいないことを示唆している。
新規事業開発の理由
新規事業に取り組む理由として最も多かったのは「新しい収益源の確保」であり、6割以上の企業がこの目的で新規事業開発に踏み出している。また、市場の変化に対応するために新規事業に取り組む企業も多く、環境への適応が重要であることが浮き彫りになった。
担う人材の多様性
新規事業開発を推進する人材については、既存事業に従事するメンバーに加え、経営層や専任チームが関与するなど、企業によってアプローチが異なることが表れた。特に、経営層の積極的な関与が鍵となるケースが多い。
直面する課題
最も大きな課題としては「ビジネスモデルの構築」が挙げられ、この問題に関して多くの企業が悩んでいることがわかった。ビジネスモデルが不十分であると、新規事業が市場に受け入れられず、結果として失敗につながる恐れがあるため、特に慎重な対応が求められる。
課題解決のための施策
調査対象の約7割が新規事業開発における課題を解決するための施策を講じており、主に「組織体制の最適化」と「データ分析の強化」が行われている。他にも外部の専門家やコンサルタントの活用が進んでおり、より多様な視点から課題を克服しようとする姿勢が見受けられる。
まとめにかえて
この調査から、中小企業では約20%が新規事業開発に取り組んでいることがわかった。新しい収益源の確保がその主な理由であり、多くの企業がビジネスモデル構築の難しさに直面している。また、効果的な課題解決には組織の最適化や外部リソースの活用が求められ、今後の取り組みに期待が寄せられる。これからの中小企業の成長は、新規事業開発の方向性次第であると言えるだろう。
調査を実施した会社
合同会社triは、組織開発コンサルティングサービスを展開しており、特に従業員100名以下の企業を対象としたサービスを提供している。情報の詳細は、
合同会社triのウェブサイトで確認できる。