花王の新技術で実現する脂質成分を含むシャンプーの未来

花王が開発した革新的なシャンプー技術

花王株式会社は、ヘアケア研究所において新たなシャンプーの技術を確立しました。この技術は、髪に必要な脂質成分を効果的に補給しつつ、洗うことができる新しい処方を実現しています。これまでのシャンプーは、水溶性成分を中心に処方されていましたが、花王の新技術では水層と油層が交互に重なり合ったラメラ構造を採用することで、脂質成分の多量配合が可能となりました。

脂質成分の重要性

毛髪は主にタンパク質で構成されていますが、その中には少量の脂質も含まれており、髪のまとまりやツヤに大きく影響します。しかし、従来のシャンプーでは、これらの脂質成分が失われやすく、また配合が難しいという課題がありました。花王の研究チームは、洗髪時の脂質成分の流出を防ぎ、効果的に髪に取り込む方法を模索してきました。やがて、ラメラ構造の特性が注目され、これを用いることで進化したシャンプー剤型の確立に成功しました。

ラメラ構造の機能

シャンプーにおいて、これまで脂質成分は界面活性剤が形成するミセル状態の中に含まれていました。しかし、この方法では多量の脂質を保持できなかったため、花王はラメラ構造に着目しました。この構造は水層と油層の交互の重なりで構成されており、より多くの脂質成分を取り込みやすくします。

さらに、泡立ち性や洗い上がりの感触にもこだわり、界面活性剤や脂肪酸の組み合わせを検証。脂肪族アルコールを加えることですすぎ時の滑らかさが向上し、脂肪酸グリセリドを加えることで泡立ちの良さや仕上がり感にも改善が見られました。この工夫により、脂質成分を多量に含む新しいシャンプーが登場しました。

ラメラ構造シャンプーの効果

開発したシャンプー剤型を用いて、プロトタイプシャンプーの効果を確認する実験を行いました。30回にわたり毛束の洗髪を行った結果、髪に残る脂質成分が増え、毛束のまとまり具合が改善されることが示されました。実験に使用したシャンプーには、特別なコンディショナーは使用せず、コストパフォーマンスも優れています。

新しい洗髪体験への期待

花王の新技術によって、洗いに使うシャンプーが単なる洗浄道具から、髪に対してさまざまな効果を持たせることができる製品へと進化しました。この研究結果は、2024年11月に兵庫県で開催される第2回日本化粧品技術者会学術大会において発表される予定です。この新しいシャンプーの登場により、消費者は髪に優しい洗髪体験を得られることが期待されます。今後の展開にも注目です。