ワールド・モード・ホールディングスによる接客体験調査レポートの発表
概要
ワールド・モード・ホールディングス株式会社(WMH)は、ファッションブランド向けに独自のカスタマーサティスファクション(CS)調査「SEEP(シープ)」を実施し、その結果をまとめたレポートを公開しました。この調査は、2025年2月に東京・大阪・名古屋・札幌・福岡の5つの都市で実施され、ファッションブランドの店舗における接客体験の質がどのように顧客の満足度や売上、ブランドの価値に影響するのかを示しています。
調査の背景
近年、ファッション市場ではラグジュアリーの成長が鈍化し、ミッドマーケットが台頭していることが見受けられます。この背景には消費者の価値観が変化し、“物”の購入から“体験”の重視へシフトしている現状があります。Eコマースが拡大する中、実店舗での体験がブランド選択の決定要因となっています。今回のレポートによると、売上は増加している一方で、顧客の満足度は下降しているという矛盾が浮き彫りになりました。インバウンド需要の回復が見込まれるなかで、CSスコアの低下とブランド間の格差が拡大するという問題が喫緊の課題となっています。
調査結果の重要なポイント
このレポートでは、いくつかの注目すべきトピックが挙げられています。
1. ファーストアプローチの重要性
入店から数秒がその後の接客満足度に大きく影響することが明らかになりました。接客の質は「声をかけたタイミング」「姿勢」「笑顔」「目線」といった初期対応によって決まります。
2. 接客のPDCAモデル
高スコア店舗に共通するのは、接客スキルを単に習得するだけでなく、教育やナレッジ共有の仕組み、さらにブランド哲学の文化を浸透させることです。これにより、接客品質の一貫性が確保されるのです。
3. ブランド間格差の拡大
同一カテゴリー内でのブランドによるCSスコアの差が明確になっています。同じ価格帯でも、顧客は接客体験を基にブランドを選択する傾向が強まっています。
4. 接客スコアの地域差
これまで、質の高い接客が期待されていた都市部の路面店でスコアの低下が顕著になりました。一方、郊外型施設では丁寧な提案や配慮ある応対が高く評価されています。これは、店舗の立地により異なるニーズに応えられていないことを示唆しています。
まとめ
このレポートは、店舗運営や人材戦略に関わるすべての関係者にとって重要な実務的インサイトを提供します。具体的には、接客現場での行動差やCSスコアの改善方法、顧客が再来店したくなるスタッフ対応についての知見が得られます。
また、調査結果に基づき、「売れているのに満足されていない」現状に光を当てることが大切です。接客力の再定義が求められる今、企業はこのレポートを通じて、ブランド体験の質を向上させる手がかりを得ることができるでしょう。
調査概要
- - 実施期間:2025年2月
- - 対象都市:東京・大阪・名古屋・札幌・福岡
- - 調査方法:モニター型覆面調査(各店舗あたり複数名評価)
このレポートはSEEP事業部が提供し、ブランドの課題発見や改善を支援する役割を果たしています。より良い顧客体験を築くために、ぜひ参考としてご活用ください。