自動車整備に革命をもたらす新システム
自動車業界が直面している人材不足の問題を解決するため、株式会社ギックスとトヨタモビリティパーツ株式会社は共同で「AI整備見積りシステム」を開発し、特許を取得しました。この新しいシステムは、2024年3月からトヨタモビリティ新大阪株式会社での導入が開始され、ますます多くのトヨタ販売店にも導入される予定です。
背景とニーズ
現在、自動車整備業界では、ハイブリッド車や電気自動車の普及に伴い、整備技術の高度化が求められています。専門的な知識やスキルを持つ整備士の需要が高まる一方で、整備士の有効求人倍率はなんと4.99倍を記録しています。この状況は、他の職種の平均1.17倍を大きく上回り、自動車整備業界における深刻な人材不足を物語っています。これらの課題を解決するために、2020年にトヨタモビリティパーツはギックスをパートナーとして迎え、AIを活用したデータ解析を通じて、より効果的な整備システムの開発に着手しました。
共同での取り組みの成果として、トヨタモビリティ新大阪を含む約21万台、135万件以上の整備データをAIが解析し、その結果として新しい「AI整備見積りシステム」が完成しました。
システムの特徴
この「AI整備見積りシステム」は、車両の年式や走行距離を入力することで、AIが整備の必要性を診断します。具体的には、約80項目の整備内容が評価され、整備士向けと顧客向けの2種類の「AI診断書」が生成されます。
- - データに基づく提案: 車両が入庫する前から、整備士はデータによる提案や見積もりを行うことができます。
- - 均一性の確保: 従来の整備士のスキルや経験による見積もりのばらつきを減少させ、均一な整備見積もりを実現します。
- - 詳細情報の提供: スタッフ向けの診断書には、過去の整備履歴など詳細が含まれ、顧客への説明がスムーズになります。
- - 分かりやすい説明: 顧客向けには、専門用語を用いることなく理解しやすく整備内容を説明します。
これにより、整備士の業務負担が軽減され、車両点検の効率化が図られるのです。
特許取得の舞台裏
特許番号7723373号を取得した本システムは、情報処理の方法やモデル生成に関するものであり、2023年6月30日に出願し、2025年8月5日には登録されました。発明者たちは、この成果が将来的により良いモビリティ社会の実現に寄与することを願っています。
企業の展望
トヨタモビリティパーツとギックスは、地域密着のトヨタ販売店と連携し、カーオーナーに安心できるサービスを提供し続けることを目指しています。このシステムを基盤に、さらにデータを活用した新機能の開発にも取り組み、現場からのサービス向上に貢献していく予定です。私たちの技術革新は、未来のモビリティ社会に向けた新たな一歩とも言えます。
企業紹介
トヨタモビリティパーツは、トヨタグループの一員として、自動車関連部品や用品を全国の拠点から顧客に提供しています。ギックスは、大量のデータを駆使し、企業の成長を支えるアナリティクス分野での専門企業で、顧客理解を深めるための事業に取り組んでいます。両社の技術力と取り組みは、今後の地域社会の発展に寄与することが期待されています。