東京からパリへ、スポーツとLGBTQ+の未来を繋ぐ:プライドハウス東京の軌跡とパリでの活動報告
2020年東京オリンピック・パラリンピックを契機に設立された「プライドハウス東京」は、7月25日から30日にかけて開催されたパリ2024オリンピック・パラリンピック期間中、活発な活動を展開しました。その取り組みと成果をまとめたレポート動画が公開され、スポーツ界におけるLGBTQ+への理解促進に向けた彼らの揺るぎない意志が改めて示されました。
JOCとの共同記者会見と新たなプロジェクト発足
7月29日には、TEAM JAPAN HOUSEにて日本オリンピック委員会(JOC)と共同記者会見を実施。2022年から2024年にかけて行われた3年間の取り組みについて、日本のメディアやスポーツ関係団体に向けて発表しました。JOCからは三屋裕子副会長と杉山文野理事、プライドハウス東京からは野口亜弥氏(当時共同代表)と松中権氏が登壇し、スポーツ界におけるLGBTQ+の課題と、その解決に向けた取り組みの重要性を訴えました。
三屋副会長は、多様性と調和のある社会の実現に向けてJOCが果たす役割の大きさを強調。記者会見後には、パナソニックグループの協賛による「プライドハウス東京書籍化プロジェクト」の発足も発表され、今後の更なる活動展開への期待が高まりました。
TEAM JAPAN HOUSEでの情報発信
7月25日から8月11日までの間、TEAM JAPAN HOUSEにLGBTQ+情報発信コーナーを設置。プライドハウス東京が発行するガイドブックの配布や、パネル展示、アスリートからのメッセージ動画の上映などを通して、来場者への情報発信を行いました。多くの国内外の来場者や大会関係者らが訪れ、活発な情報交換の場となりました。
プライドハウスパリへのバトンタッチ
7月29日、Rosa Bonheur sur Seineで開催されたプライドハウスパリのオープニングセレモニーでは、プライドハウス東京の松中氏からパリへのハンドオーバーセレモニーが行われました。松中氏は、パリ2024大会がオフィシャルエンブレムにレインボーカラーを採用したことに喜びを表明。日本の伝統工芸である水引をモチーフにした、11色のプログレスフラッグを贈呈し、プライドハウス同士の繋がりと連帯を象徴しました。
トークショーでの意見交換
7月30日には、「大規模スポーツ大会を通じたLGBTQ+の権利運動の促進」と「プライドハウスに期待される役割」をテーマにしたトークショーが開催されました。プライドハウス東京の野口氏がモデレーターを務め、プライドハウスパリ、プライドハウスインターナショナルの代表者、アライアスリートの小谷実可子氏、プライドハウス東京の杉山氏が登壇。それぞれのプライドハウスの活動や課題、そして国際的なネットワークの重要性について活発な意見交換が行われました。
パリLGBTQ+センター訪問
プライドハウス東京は、パリ最大級のLGBTQ+センター「Le Centre LGBTQI+ de Paris et d'Île-de-France」も訪問。センターの活動内容や地域団体との連携について情報収集を行い、今後の活動に役立てようとしています。同センターは100以上の関連団体が加盟するハブとして機能し、フランス国内のLGBTQ+コミュニティを支えています。
未来への展望
プライドハウス東京のパリでの活動は、単なるイベント参加ではありませんでした。JOCとの連携、情報発信、国際的なネットワーク構築を通して、スポーツ界におけるLGBTQ+の課題解決に向けた重要な一歩を踏み出しました。その取り組みは、今後日本だけでなく世界中のスポーツ界に大きな影響を与えるでしょう。 プライドハウス東京の活動は、スポーツを通じたインクルーシブな社会の実現に向けた、持続可能な取り組みとして高く評価できます。