JOGMECがカナダでニッケル共同探鉱を開始
日本の経済産業省の外局として知られるJOGMEC(独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構)が、新たなニッケル探鉱事業を開始したことが発表されました。このプロジェクトは、カナダ・ニューファンドランド・ラブラドール州のアドボケイト地域において、探鉱ジュニア企業であるFPX Nickel Corp.との共同で実施されます。特に、アワルワ鉱と呼ばれる鉱床がその対象となり、カーボンニュートラル社会の実現に向けた重要な一歩と位置付けられています。
プロジェクトの背景
2025年7月3日に、JOGMECはFPX社との正式な契約を締結し、探鉱事業を推進する体制が整いました。本地域は、2023年3月29日に、JOGMECとFPX社による共同探鉱契約を踏まえた広域調査の結果、特に注目される地域として新たに抽出されたエリアです。今般、カナダの投資法に基づく手続きが完了したことで、両者の連携により本格的な探鉱が実施可能となります。
アドボケイト地域について
アドボケイト地域は、カナダのニューファンドランド・ラブラドール州北西部に位置し、セントジョンズから約350キロメートル離れた場所に広がる鉱区群です。この地域には、計8,625ヘクタールに及ぶ広大なエリアがあり、既に探査によりアワルワ鉱が確認されています。これにより、ニッケル資源の豊富な可能性が期待される状況となっています。
共同探鉱契約の詳細
JOGMECは、鉱区を持つShoreline Exploration社とFPX社との間で共同探鉱契約を結びます。JOGMECは、今後3年間で約163.5万カナダドルを拠出し、アドボケイト地域における権益を48%取得するオプションを得ることになっています。これにより、探鉱活動を進めることができると視野に入れています。
FPX Nickel Corp.について
FPX Nickel Corp.は、カナダのバンクーバーに本社を置く探鉱ジュニア企業です。同社はトロント証券取引所に上場しており、旗艦プロジェクトであるブリティッシュコロンビア州のバプティスト鉱床を含む多様なニッケル鉱床の開発を進めています。バプティスト鉱床については、2023年9月に発表されたプレフィージビリティスタディの結果、年産6万トンのニッケル生産が29年間にわたって可能であるとの見込みが示されています。
アワルワ鉱の特徴
アワルワ鉱は、ニッケルと鉄を主成分とする合金鉱物であり、従来のラテライト鉱などと比較して、二酸化炭素の排出量が少ないと期待されています。この特性から、JOGMECは新たなニッケル資源の発見を目指し、環境に優しい生産方法による電池材料向けニッケル供給の可能性が期待されています。
結論
JOGMECの今回の探鉱事業は、将来的に電池材料向けのサステナブルなニッケル資源の確保に寄与し、カーボンニュートラル社会の実現に向けた重要なステップとなることが期待されています。共同で探鉱を進めるFPX社との連携により、新たなニッケル鉱床の発見が進むことに注目が集まります。今後の動向が非常に楽しみです。