新潟青陵高校とコグニティが挑む、AIによる若者の対話力育成プログラム
近年、若者たちがしばしば“つながっていても、話し合えない”世代と呼ばれる中、彼らのコミュニケーションスキルを高めるための新しい試みが始まっています。新潟青陵高校とコグニティ株式会社が共同で実施しているAIを活用したプログラムは、この課題に立ち向かう為の実証実験として注目を集めています。この取り組みは、特にZ世代の生徒にフォーカスを当てており、その特徴に基づいた対話力の育成を目指しています。
1. Z世代の特性とは
2024年のコグニティの調査によれば、Z世代は「自信のないことや準備していない内容には発言しない」という特性を持っています。彼らは多くの場合、非対面や非同期のコミュニケーションに慣れているため、直接的な対話や議論に対して心理的なハードルを感じやすいという問題が浮上しています。これに対抗するため、新潟青陵高校は生徒が事前に「話し合いの型」を理解できるように工夫を凝らしています。
2. プログラムの概要
新潟青陵高校は、2026年度に新設予定の広域通信制課程において、AIを通じて生徒のディスカッション技術を育てる新たなアプローチを実施。本プログラムでは、ディスカッションの内容をAIが分析し、数値やグラフを用いて生徒たちに具体的なフィードバックを提供します。この試みは、コミュニケーションをより深めるための重要なステップとなっています。
3. AIによる分析とフィードバック
2025年1月には、教師と生徒のディスカッションデータをAIで分析し、良好なディスカッションの特徴を抽出。これに基づいて、各生徒に対する個別フィードバックレポート「COG-DISCUSS(コグ・ディスカス)」を開発しました。このレポートは、生徒のファシリテーションスキルや議論スキルに関する評価ポイントを明示化し、具体的な改善点を示すものです。
4. 実施結果と学び
プログラム実施後、生徒たちのディスカッションスキルに顕著な変化が見られました。具体的には、メンバーの発言量が平均約83%増加し、話題の抜け漏れが減少する結果となりました。これらの結果は、学びのプロセスにおいてAIによる科学的なアプローチが如何に効果的であるかを物語っています。
5. 教育の新たな方向性
新潟青陵高校では、今後も対話の価値を高めるための教育を強化していく方針です。物理的な距離があっても学びが「つながり」の中にあることを重視し、AIを活用したフィードバックにより従来の通信教育に革新をもたらそうとしています。コグニティの技術によって、定性的な対話の力が数値化され、より公平な評価が可能となる未来が開かれるでしょう。
この取り組みは、教育の場において多様なスキルを育成するための新たなモデルとして位置付けられており、今後も高校教育の様々な現場での導入が期待されています。若者たちが自らの成長を実感できる環境が整うことで、より多くの生徒が自信を持って対話に臨む未来が描かれています。