パナソニックの新たな挑戦
パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社は、環境への配慮を強く意識し、三菱ガス化学株式会社と手を組んで新たに開発したのが、CO2を原料にした環境配慮型ユリア樹脂です。この樹脂は、配線器具などの電気関連製品に使用され、特に通電箇所での安全性を向上させる材料として注目されています。
ユリア樹脂の特性と課題
ユリア樹脂は熱硬化性樹脂の一種で、耐トラッキング性や耐アーク性に優れていますが、硬化後は再加工ができず、資源循環の面で課題がありました。この問題を解決するために、CO2を資源と考え、三菱ガス化学と共に新しい製造方法を確立しました。
CO2からのリサイクルの実現
今回の製品開発により、ユリア樹脂はCO2から合成されるメタノールを原料として使用します。このプロセスにより、CO2の排出量が従来のユリア樹脂と比較して約20〜30%削減されることが可能となります。これによって、カーボンリサイクルが実現し、持続可能な社会への第一歩が踏み出されるのです。
製造過程の新たな展開
パナソニックは、ユリア樹脂原料の成形条件や物性が従来の化石資源由来樹脂と同等であるため、製造設備を大きく変更することなく新たな樹脂を製品化できるようにしています。これにより、品質や性能を維持したまま、環境負荷の低い配線器具の導入が可能です。
サーキュラーエコノミーの実現へ
この新しい環境配慮型ユリア樹脂が実用化されれば、住宅や商業ビルの施設における資源循環の促進につながります。また、エンボディードカーボンの削減が進むことで、環境問題への貢献も期待されています。
今後の展望
パナソニックは、ユリア樹脂に限らず、他の材料においても環境への配慮を進め、カーボンニュートラル社会の実現に向けてさらなる取り組みを進める方針です。この新たな技術が業界に与える影響は大きく、持続可能な未来の実現に向けて、多くの企業にも刺激を与えることとなるでしょう。
お問い合わせ先
パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社
技術本部 先端技術イノベーションセンター
電話:06-6908-1131(代表受付 9:00~17:30)
この革新的な環境配慮型ユリア樹脂は、2025年度以降に商業製品として販売される予定です。今後の展開に期待がかかります。