ZOZOの企業研究が評価される
ファッションECサイト「ZOZOTOWN」を運営している株式会社ZOZO(本社:千葉県千葉市)は、この度、内部研究者が執筆した論文がコンピュータグラフィックス分野の最高峰を誇る「SIGGRAPH Asia 2024」において採択されたことを発表しました。この論文のタイトルは「A Cubic Barrier with Elasticity-Inclusive Dynamic Stiffness」で、日本語では「動的弾性剛性を考慮した三次バリア関数」となります。著者は、同社の生産プラットフォーム開発本部に所属する安東 遼一氏です。
SIGGRAPH Asia 2024の概要と意義
SIGGRAPH Asiaは、世界中の研究者や企業がコンピュータグラフィックスに関する最先端の研究成果を発表する国際的なカンファレンスです。2024年12月には東京国際フォーラムで開催される予定であり、当社の研究成果はTechnical Papersとして発表され、さらにTOG(Transactions on Graphics)という権威ある学術ジャーナルにも掲載されます。
この発表の機会は、国際的な視野での技術革新の水準を証明するものであり、ZOZO自身のブランドイメージにも貢献します。
研究の背景
ZOZOは生産支援事業を通じて、アパレル業界における企画から販売までの流れを自動化することを目指しています。通常、アパレル生産には時間がかかり、複数回の試作過程を経てから販売に至ります。しかし、今回の研究はデザインや仕様の自動生成を可能にする方法を模索し、各工程を効率化することを狙いとしています。具体的には、衝突処理技術に注力し、これを研究することでリードタイムの短縮を目指します。
論文の内容
本論文では、衝突処理のアルゴリズムに弾性項を導入することで、信頼性と効率性を両立させる方法が提案されています。従来の手法は限界があり、計算が破綻するケースも見受けられましたが、本研究により、動的な弾性項を考慮することで安定した衝突処理が実現されることが期待されています。これにより、大規模な生産自動化が進み、アパレル生産の新たな可能性が開かれます。
未来への展望
布地の動きをシミュレーションするためには、正確な計測が求められます。この自動化には課題がありましたが、今回の研究によって糸を基準とした精密な計算が可能になり、自動化の道が開かれるかもしれません。今後ともZOZOは研究開発を続け、物理シミュレーションを応用した技術の向上に努めていきます。
論文公開について
本研究成果はGitHub上でオープンソースとしても公開されており、広範な利用が想定されています。技術の進歩とその応用がいかにファッション業界を変革し得るか、今後の展開に注目が集まります。