新液浸冷却システム
2015-06-05 12:00:21
PEZY社、液浸冷却専用HPCシステム「ExaScaler-1.4」を発表
PEZY社が新たに開発した液浸冷却専用システム
PEZY社は、液浸冷却に特化したHPC(高性能計算)システム「ExaScaler-1.4」を発表しました。この新しいシステムは、後続の世代に向けてさらなる性能向上を目指して開発されており、これまでと異なる構成で設計されています。
1. システム概要
「ExaScaler-1.4」は、独立行政法人の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受けた、1,024コアを持つMIMD型メニーコアプロセッサ「PEZY-SC」を基盤としています。このプロセッサは、従来の空冷専用に設計されたシステムとは異なり、液浸冷却を前提として、新しいマザーボードを使用して性能を最適化しています。全体的な冷却効率を高めるための工夫が施されており、電源供給や冷却の問題が従来の設計よりも効率的に解決されています。
2. 新しい構成の特長
新システムには、インテルのXeon E5-2600 v3シリーズプロセッサが搭載された「Xeon Module」と、DDR4メモリを接続した「PEZY-SC Module」が組み込まれており、これによりPCIe Gen3 接続が32レーンで可能となっています。加えて、56Gbit InfiniBandアダプタカードが2枚装着され、システム全体の性能向上を図っています。
このシステムは特に効率的な冷却性能を実現しており、PEZY社は従来の空冷用システムの構造を見直し、新たに設計された基板と配線方式を導入しました。これにより、ケーブルを排除し、すっきりとしたデザインで冷媒の流れが改善されています。
3. 性能の向上
新しく搭載された「PEZY-SC」は、これまでのエンジニアリングサンプルから量産前のバージョンに変更されたことで、動作の安定性が向上しています。これにより、従来の演算システムと比較して、より高い動作周波数での運用が可能となり、性能が向上しました。トータルでの性能向上は、InfiniBandの帯域を倍増させることで実現されています。
4. 今後の展開
一方で、今回の開発では当初計画していた4枚の「PEZY-SC Module」間での双方向通信が実現せず、「ExaScaler-1.5」の完成は次回に持ち越されることになりました。それでも、PEZY社では新型システムの性能最適化を進め、近日中に「ExaScaler-1.4」をリリースする予定です。
5. 会社の背景と今後の目標
PEZY社は2010年に設立され、影響力のあるメニーコアプロセッサの開発を行ってきました。特に、2024年に予定されている第3世代の「PEZY-SC2」の開発は、同社の総力を挙げたプロジェクトであり、将来的な技術革新にも期待が寄せられています。省電力かつ高性能なスーパーコンピュータの実現を目指すPEZY社の次のステップに注目です。
会社情報
- 会社名
-
株式会社PEZY Computing
- 住所
- 東京都千代田区神田淡路町1-4-1友泉淡路町ビル5F
- 電話番号
-
03-3525-4291