蓮井幹生個展「朽ちゆく果てにも美は宿る」
2025年3月8日(土)から23日(日)、福岡市のYUGEN Gallery FUKUOKAにて写真家・蓮井幹生の個展が開催されます。この展覧会のタイトルは「朽ちゆく果てにも美は宿る」。タイトルからも分かるように、本展は美と記憶をテーマにしており、特に自然災害による被害とその後の美の再発見に焦点を当てています。
今回の展示では、110年以上の歴史を持つ石川県小松市の九谷焼窯元『錦山窯』が、能登半島地震によって被った甚大な被害を受けた作品の写真16点が公開されます。著名な陶芸家である人間国宝・吉田美統氏の作品も含まれ、破損という運命を受けた彼の作品が、どのように新たな美しさを見せるのかを探求します。
蓮井幹生は、東京都生まれの写真家であり、1988年に写真家として活動を開始しました。以降、彼は広告やポートレートだけでなく、自然の摂理や時間の流れといったテーマの作品も発表してきました。彼の作品は、フランス国立図書館にも収蔵されており、高く評価されています。
本展覧会のために蓮井は、1億画素の超高画素センサーを用いて、地震で破損した九谷焼作品を撮影しました。これにより、ただの被災の記録にとどまらず、瑞々しい新たな美の表現としての側面を示しています。これを通じて、蓮井は「人と自然の循環」をテーマに、「朽ちゆくものの美しさ」を再発見しようとしています。
吉田美統氏は、九谷焼の伝統技法「釉裏金彩(ゆうりきんさい)」を極め、2001年には重要無形文化財の保持者として認定されています。彼の作品は、繊細な装飾と絵画的な美しさを併せ持ち、陶芸の新たな地平を切り開くもので、蓮井の写真作品とも相まって、観る者に深く訴えかけるものとなります。
本展では、作品売上の一部が錦山窯の復興支援に寄付される予定で、3月8日(土)と9日(日)には作家の在廊も予定されています。この機会に、彼の作品に込められた想いを直接聞くことができる貴重なチャンスをお見逃しなく。
また、YUGEN Galleryは、現代アートを専門に扱うギャラリーであり、東京と福岡に拠点を構えています。ギャラリーの名前は、日本の美的概念である「幽玄」から名付けられ、多くの現代アーティストの作品を展示しています。展示作品はオンラインでも販売されており、アートに興味がある方はぜひ覗いてみてください。
本展を通じて、蓮井幹生が掘り下げる新たな美のかたちや日本の美意識をぜひご体感ください。自然災害から生まれた新しい視点が、私たちに何を教えてくれるのか、心に響く瞬間を見逃さないでください。
詳細はギャラリーの公式サイトでご確認いただけます。