ホーユーが発表した新しいヘアカラー技術
愛知県名古屋市に本社を置くホーユー株式会社は、毛髪の主要成分であるシスチンに着目した新たな毛髪補修技術を開発しました。この技術は、シスチンが効果的に毛髪内に補充されることを可能にし、新しいヘアカラー製品の開発に応用される予定です。2025年12月には、学術大会でその研究成果が報告されることになっています。
研究背景と目的
毛髪の構成成分であるケラチンは、特にシスチンを豊富に含むことが特徴です。シスチンは毛髪を硬くし、弾力性を与える重要な役割を果たします。しかし、毛髪内のシスチンが失われることで、ダメージが生じることは広く知られています。ホーユーでは、これまでシスチンの単体による毛髪補修効果を見出し、それに基づく研究も行ってきましたが、シスチン自体が化学反応を起こしやすい特性から、ヘアカラー製品に配合するのが難しかったのです。
新技術の確立
新たな研究によって、ホーユーはヘアカラー製剤にシスチンを効果的に配合する技術を確立しました。施術直前にシスチンを混合する方法を採用することで、製剤への応用が実現したのです。この技術により、ツヤや透明感の向上が報告され、毛髪の疎水化も確認されました。これらの効果は、シスチンが毛髪内部に浸透し、メラニンやコルテックスの空洞を補修したためと考えられています。
ヘアカラー施術後の改善結果
特筆すべきは、ヘアカラー施術後に時間をおいて酸の後処理剤を施した際、ツヤや疎水化度の向上が確認できた点です。これは、毛髪内部でのシスチン析出が行われ、空洞補修効果が高まったことによるものでしょう。シスチンはアルカリ条件下では水に溶解しませんが、中~酸性条件下では溶解し、その特性を利用して効果が発揮されています。
ホーユーの企業理念と将来展望
ホーユーは創業以来、ヘアカラーに関する研究開発を続けてきました。2005年に始まった以降、同社は常に新しい価値の創出を目指しており、2023年には創立100周年を迎えることになります。今後も顧客や社員、そして地球環境にも配慮しながら、持続可能な社会の発展に寄与し続ける意欲を示しています。
ホーユー株式会社は、1923年に設立されて以来、国内ヘアカラー市場のトップ企業として定評を得ています。技術革新を続けることで業界のリーダーシップを確立し、今後も毛髪科学の最前線を走り続けることでしょう。