画期的なロボットベッド「Haxx」が介護現場の負担を軽減
アックスロボティクスが開発した「Haxx(ハックス)」は、自動で体位交換を行うロボットベッドです。近年、介護現場では要介護者の数が増加しており、その対応に苦慮する介護職員の負担が増大しています。厚生労働省の報告によると、2020年3月時点で要介護および要支援認定者の数は669万人に上り、過去10年で184万人増加しました。今後も急速に増えることが予想されており、この状況下での人手不足が叫ばれています。
体位交換の重要性とその課題
介護の現場では、要介護者が自力で体位を変えることができない場合、褥瘡(じょくそう)を予防するためにこまめに体位を換える必要があります。この作業は体位交換と呼ばれ、褥瘡を防ぐためには少なくとも2時間ごとの体交が求められます。しかしながら、これには介護職員にとって身体的な負担も大きく、同時に要介護者からも目覚めてしまうという不満が寄せられています。これらの課題を解決するために「Haxx」は開発されました。
Haxxの革新技術
「Haxx」は、特別な設計のマットレス上に配置されたハンモック状のネットを使用して、自動的に要介護者の体位を変える機能を有しています。このネットは体圧を均等に分散させ、介護職員を介さずに褥瘡を防ぐことができます。また、ネットを支える7つのシリンダーは自由に動かすことができ、個々の体調や好みに応じて寝姿勢を調整することが可能です。ロボットベッドが体位交換を行うことで、介護職員の業務負担が軽減されつつ、要介護者にはより快適な睡眠環境が提供されます。
実証実験での検証
「Haxx」の実証実験は、2022年4月から7月にかけて、社会福祉法人一燈会が運営する介護施設「メゾン・二宮」で行われます。ここでは、2台のプロトタイプが設置され、入所者に自動体交を行ってもらうことで、褥瘡の予防効果や介護職員の負担軽減について検証されます。一燈会の柴谷寛人施設長は、複雑化する介護の中で、これまで相反していた「褥瘡予防」と「安眠」の両立が期待できると述べています。
企業の想いと今後の展望
Ax Robotixの代表、川村裕一氏は、介護業界における人手不足の問題とその解決策を模索してきた経緯を語ります。生活が長くなる現代社会において、質の高い介護がますます需要される中で、ITやロボット技術を駆使したソリューションを提供することに強い意義を感じています。また、今後は寝姿勢の自動判定や排泄の感知など、さらなる機能追加を目指して開発を進める方針です。
パートナーシップの募集
アックスロボティクスでは、介護現場の課題解決に向けた実証実験のパートナーを広く募集しています。医療機関や介護施設だけでなく、寝具の製造メーカーや関連研究機関との連携を強化し、より実践的なソリューションの構築を目指しています。
企業情報
Ax Robotix株式会社は、睡眠の質を高めるプロダクトを通じて、社会に貢献することを理念として828003052019年に設立されました。川村氏をはじめとしたロボットエンジニアたちが、「欲しい枕の高さが日によって変わる」という自身の悩みを解決するための製品開発に没頭しています。今後も「Haxx」を含む新たなプロジェクトが進むことで、多くの介護現場に貢献できることが期待されています。
詳しくは、
Ax Robotixの公式サイトをご覧ください。