別府市活性化プロジェクトが生んだ受賞ホテル
温泉と観光が融合する街、別府。その中心で新たに生まれた「アマネク別府ゆらり」は、2024年度グッドデザイン賞を受賞しました。この授賞は、地域と観光を結びつけ、地元の活性化を図る取り組みとして高く評価されました。ここでは、受賞の背景やプロジェクトの特徴に迫ります。
受賞の背景
株式会社アマネクと再生建築研究所が協力して作り上げた「アマネク別府ゆらり」と「アマネクイン別府」は、旧エルザという歴史的建物の再生を含む地域活性化プロジェクトの一環です。過去の観光のあり方を見つめ直し、従来型のラグジュアリーホテルではなく、地元とのつながりを強調した新たな形の「地域活性化ホテル」として2021年にオープンしました。
グッドデザイン賞を受けた理由は、そのデザイン性だけでなく、地域の活性化に寄与する意義深い取り組みが評価されたからです。審査員は「優良な社会ストックの活用事例」として、地域の魅力とホテルの設計がうまく融合していることを称賛しました。
地域活性化ホテルの特徴
「アマネク別府ゆらり」と「アマネクイン別府」は、別府温泉の特徴を最大限に生かし、市街地と観光地へのアクセスを考慮した設計がされています。特にホテル周辺には飲食店が多く、宿泊客が地元の飲食店に足を運びやすい仕組みを整えています。
独自の決済サービス「HEYAZUKE」を導入し、宿泊客は飲食店での支払いを部屋付けできるため、気軽に食事を楽しむことができます。このサービスによって、周辺の飲食店がホテルの一部のように機能することを目指しています。
また、ホテル内には浴衣のセレクトショップや各種共用施設が完備されており、リゾート感と地域文化を同時に楽しむことができる点も大きな魅力です。
デザインの独自性
デザインにおいても、地域との調和を重視したアプローチが取られています。アマネク別府ゆらりは、宿泊客が自然に地域の文化に触れられるような空間設計になっています。ホテルの足元には大きなロビーラウンジがあり、伝統的な竹細工をモチーフにした造作によって訪れる人を暖かく迎え入れます。
またアマネクイン別府は、地域との接続を意識したハブのような位置づけで、共用部にはコワーキングやライブラリーが設置されています。これは観光客だけでなく、地元の人々にとっても利用しやすいスぺースとなっています。
旧エルザの再生
築80年以上の木造建築である旧エルザの再生計画も、このプロジェクトの重要な一部です。段階的な再生が行われ、将来的にはギャラリーや飲食店などに開放される予定です。この取り組みを通じて、歴史的な資産を次世代へ受け継いでいくことを目指しています。
グッドデザイン賞の意義
グッドデザイン賞は、デザインが私たちの暮らしや社会をより良くすることを目的とした活動であり、評価される基準は多岐にわたります。アマネク別府ゆらりの受賞は、その努力が正当に評価された結果であり、地域の活性化に貢献する新たなモデルとして、多くの人々に影響を与えることが期待されています。
これからもアマネクの取り組みが、別府市の観光産業と地域の文化を更に発展させていくことを願っています。